地方公共団体の20年度財務書類の作成状況
総務省サイトに6月25日に「地方公共団体の平成20年度版財務書類の作成状況等」が掲出されている。内容は、地方公共団体の平成20年度版財務書類の作成状況を22年3月31日現在で調査した結果を公表するもの。
施設の価値の減少である減価償却累計額(1兆3000億円)から、今後の膨大な更新需要への対応が必要と判断して、「大規模施設等の改築・改修に関する実施方針」を策定した。今後の約10年間に発生する更新需要にかかる経費を8000億円程度と見積もって、社会資本等整備基金への積み立てを開始した。
債権のうち未収金が多額(1300億円)にあることから、債権管理の強化が必要と判断して、「東京都債権管理条例」を制定(平成20年7月施行)。各局に債権管理者を設置し、全庁的な債権管理体制の強化を進めている。また、条例に基づく債権放棄の手続きを定めて、適切な欠損処理を行い、議会へ報告している。
財産管理の強化として、未利用地・遊休施設の有効活用(売却・貸付など)に取り組んでいる。
固定資産管理の内部統制の強化として、財産台帳と現物資産の照合、事業目的と利用状況の把握、貸借対照表の残高と財産台帳との適時の照合などに取り組んでいる。
発生主義会計の財務情報を活用して、予算編成に活用できる事例は、現状ではまだ数少ない。しかし、事業の廃止・見直しという目的だけでなく、投資を伴う新規事業の選択やより効率的なサービス供給方法への変更など、前向きな活用方法が示されたことには大きな意義がある。
1.財務書類の作成モデルが複数存在し、統一されていないため、他団体との比較が難しい(P3)
現在、「総務省方式(10.5%)」「基準モデル(8.3%)」「総務省方式改訂モデル(73.3%)」「独自方式(1.0%)」と複数の財務書類作成モデルが存在している。どのモデルを選択するかについては各自治体の判断によるため、各自治体が公表する財務書類を比較することは難しい状況となっている。
2.6割以上の団体で固定資産台帳が電子化されておらず、約7割の団体で有形固定資産の取得時の金額の情報がない。そのため、資産の正確 な把握ができていない状況である(P13)
加えて、固定資産台帳の整備時期については半数以上が「未定」となっている。現状では半数以上の団体が固定資産台帳を財務書類に使用できる目途さえ立っていない。このように、多くの団体では財務書類を資産債務改革に役立てるのが難しい状況である。資産債務改革という目的から考えれば、まずは固定資産台帳の整備を急ぐ必要がある。
3.有形固定資産の評価方法は、約8割の団体が過去の決算額の積み上げであるため、財務書類の有形固定資産額は実態とは異なっている(P9)
過去の決算額の積み上げに使用するデータ(決算統計)は、昭和44年度以降に作成されており、取得時の有形固定資産の情報しか把握する事ができない。昭和43年度以前の情報、昭和44年度以降の除売却資産や譲渡で取得した資産については把握する事ができない。現状、約8割の団体が決算統計データを使用している。
(1)ストック情報の欠如への対策として、貸借対照表を作成する。また、全体の財政状況をつかむために、公営企業や外郭団体などを結びつけた「連結貸借対照表」を作成する。
(2)コスト情報の欠如への対策として、行政活動の経済性や効率性を判断する重要な情報となる「行政コスト計算書」を作成する。
(3)アカウンタビリティ(説明責任)の欠如への対策として、広報、インターネットなどにより住民に情報を公開する。また、アニュアルレポート(年次財務報告書)の作成を行う。
(4)マネジメントの欠如への対策として、「政策形成(Plan)−執行(Do)−検証・評価(Check)−見直し(Action)」のマネジメントサイクルを確立する。多くの自治体では行政評価が試みられているが、サービス提供のフルコストを把握して、予算編成や事業見直しにまで活用する必要がある。
なお、若干話が変わりますが、この間の議論の中で美術品について色々この間、非常に美術品が高くなったことによって、なかなか国民の皆さんに見てもらうための、そういったことに非常に難しさが出ているということで、現在文科省との間で例えば保険の問題などに若干の支援をするのかということを検討していただいております。さらには、美術品について、これはある国会の審議であったわけですが、竹は国の財産としてちゃんと数字で計上されていますが、極めて額としては小さいわけですが、国が持っている美術品等については全く資産として計上されていないと。これもおかしなことであるということで、国で管理している財産については美術品についてもきちっと把握出来るようにということで、今その把握を検討させているところであります。
- 独立行政法人の会計については、原則として企業会計原則による(独立行政法人通則法第37条)こととされており、公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としないなどの独立行政法人の特殊性を考慮して、独立行政法人会計基準が定められています。
- 企業会計においては、現在、企業会計基準と国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスに向けた取組みの一環として、企業会計基準等の改正・設定が相次いで行われており、平成21年度以降に適用となる改正や新たに適用される基準が存在します。これら新たな企業会計基準の適用に対応するため、総務省が開催している「独立行政法人会計基準研究会」と、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」とで連携し、両者の共同ワーキング・チームにおいて、具体的な検討を行ってきました。
- 今般、「独立行政法人会計基準研究会」(3月30日開催)及び「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」(3月30日開催)において、それぞれ共同ワーキング・チームからの報告を受け、『報告書「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂について』が了承されましたので、別添(「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」)のとおり、公表するものです。
(なお、本件については、財務省においても同時に公表しております。)
- なお、「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂にあたっては、共同ワーキング・チーム(計3回開催)における取りまとめを受けて、本年3月19日から26日までの期間、改訂案を公表し意見募集を行ったところ、会計処理に関する技術的な意見(1件)の提出がありました。
- 添付資料
改訂の新旧対照表(PDF)