公会計制度見直しの動向

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地方公共団体の20年度財務書類の作成状況

 総務省サイトに6月25日に「地方公共団体の平成20年度版財務書類の作成状況等」が掲出されている。内容は、地方公共団体の平成20年度版財務書類の作成状況を22年3月31日現在で調査した結果を公表するもの。
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総務省改定モデルの解説記事

 トーマツのパブリックセクターページは3月16日に「総務省から公表された2つの成果物と今後の取り組み」〔著者: 公認会計士 小室 将雄〕を掲出している。
 内容は、地方公会計に関して平成22年3月に総務省から公表された2つの成果物「地方公共団体における財務書類の活用及び公表について」(PDFファイル)と「総務省方式改訂モデル向け作業用ワークシート記載要領改訂版」(PDFファイル)について、内容を簡単に紹介するとともに、これらを活用した各自治体における今後の取組について考えようとするもの。
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企業会計方式財務諸表の活用

 ITProサイトに6月29日に掲出されている「地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革 第4回 財務諸表を活用した会計改革の達成状況」〔鵜川 正樹=監査法人ナカチ 公認会計士〕は、「財務諸表は、作成するのが目的ではなく、どのように活用するのかが課題となる」として、東京都の平成20年度決算の財務諸表を基に、財務諸表の活用の視点から、会計改革の達成状況を見ていこうとするもの。その結論は、「マネジメントの強化に財務諸表を活用する視点としては、(1)財務マネジメントの強化と、(2)予算編成への活用という2つがある」として、(1)については、具体的に、次のようなものが上げられているが、どれも発生主義だから可能になった、というものではない。
施設の価値の減少である減価償却累計額(1兆3000億円)から、今後の膨大な更新需要への対応が必要と判断して、「大規模施設等の改築・改修に関する実施方針」を策定した。今後の約10年間に発生する更新需要にかかる経費を8000億円程度と見積もって、社会資本等整備基金への積み立てを開始した。

↑社会資本について今後、大きな更新需要があることは周知の事実。


債権のうち未収金が多額(1300億円)にあることから、債権管理の強化が必要と判断して、「東京都債権管理条例」を制定(平成20年7月施行)。各局に債権管理者を設置し、全庁的な債権管理体制の強化を進めている。また、条例に基づく債権放棄の手続きを定めて、適切な欠損処理を行い、議会へ報告している。

↑前年度未収金については、毎年度、調定を行って当年度の徴収実績を把握しているはず。


財産管理の強化として、未利用地・遊休施設の有効活用(売却・貸付など)に取り組んでいる。

↑現金主義会計の場合においても把握しているはず。


固定資産管理の内部統制の強化として、財産台帳と現物資産の照合、事業目的と利用状況の把握、貸借対照表の残高と財産台帳との適時の照合などに取り組んでいる。

↑現金主義会計の場合も財産台帳の突合は行う。


 また、(2)については、次のようにまとめている。
 発生主義会計の財務情報を活用して、予算編成に活用できる事例は、現状ではまだ数少ない。しかし、事業の廃止・見直しという目的だけでなく、投資を伴う新規事業の選択やより効率的なサービス供給方法への変更など、前向きな活用方法が示されたことには大きな意義がある。

 現段階では、そんなところだろう。
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東京都方式の解説記事

 日経ITproに6月22日に掲出された「−地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革− 第3回 公会計改革への東京都の取り組み」は、東京都の公会計システムを解説している。同システムは、元々は三セクなど企業会計の問題点を浮かび上がられるために導入した企業会計システムを電子情報処理組織を使うことを前提にトップダウン的に公共財会計にも広げたもの。電子情報処理組織を使うことによって、議会対応としての准現金主義的処理と疑似企業会計的処理を同時的に行うことを可能とし、それにより、手間暇を最小限にしていることが最大の特徴だが、それによりどのような効果が上がっているかは未知数。

公式サイト:東京都の新たな公会計制度
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公会計改革の目的は行財政改革のツール?

 ITProサイトに6月1日に掲出されている「地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革 第2回 公会計改革の必要性とこれまでの取り組み」〔鵜川 正樹=監査法人ナカチ 公認会計士〕は、現在の官庁会計では、地方自治体の財務業績を民間企業レベルで把握することは困難であると説き、いわゆる公会計改革を解説している。記事は、多くの自治体は、「総務省方式」のモデルにより官庁会計を組み替えて財務書類を作成しているが、現状では、そのルール(会計基準)が複数存在しているほか、財産台帳が未整備であるために財務書類の信頼性や比較可能性に課題があるとしている。記事はまず、政府・自治体会計への複式簿記・発生主義会計の導入は、多くの先進国では広くいきわたっているが、日本国内では、単式簿記・現金主義会計を義務付けた会計法や地方自治法に基づく現行法制度などが支障となり、いまだ本格導入への道のりは遠い状況にあるとし、(1) 英国、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、資源管理の効率性を目的として、予算、決算および財務報告に発生主義会計を導入し、財政規律、業績評価、マネジメント改革のツールとして活用しており、(2) 米国では、議会による民主的な統制を重視して、予算は現金主義のままで、決算と財務報告に発生主義会計を導入しており、(3) 欧州大陸では、フランスが国際公会計基準を導入して、予算制度改革、公会計制度改革、業績評価による行政管理改革を一体的に進めている、と伝えている〔その効果について否定的な見解もあるわけだが。〕。そして、日本国内の地方自治体では、2000年度(平成12年度)に総務省が「総務省方式」のバランスシートの作成マニュアルを公表してから、多くの自治体が決算統計をベースにした貸借対照表と行政コスト計算書(企業会計の損益計算書に相当)の2表を作成するようになったとし、総務省は、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進」のため、貸借対照表などの財務書類の整備に関して情報の提供と助言を行っていて、地方公共団体に対しては、2009年度(平成21年度)中に「新地方公会計モデル(基準モデル及び総務省方式改訂モデル)を用いた連結財務書類(平成20年度版財務書類)の作成を要請していると伝えている。そして、総務省の新地方公会計モデル(基準モデルおよび改訂モデル)の特徴は、将来的には複式簿記の導入を目指しているが、当面は、決算統計という既存のデータに基づいて容易に財務諸表を作成できることであり、主な目的は、無駄な資産を売却して債務を減らす「資産・債務の改革」であり、ストック情報とコスト情報について自治体間で比較できるようにすることであるとしているが、記事は、基準モデルと改訂モデルの際は言及していない。続いて、記事は、総務省の新地方公会計モデルは、多くの自治体に浸透してきており、ストック情報やコスト情報の必要性が認識されてきているが、この財務諸表は決算統計を組み替えたものであり、固定資産台帳の整備は進んでいない自治体が少なくないため、財務諸表の信頼性や比較可能性には課題があり、財務諸表の活用は十分とは言えない面があるとしており、基準モデルに取り組んでいる努力を評価していない。記事は、財団法人日本生産性本部が実施した「地方自治体の新公会計制度の導入状況及び財政状況に関するアンケート調査」(2009年12月)(PDF)がポイントとしている次の部分を引用した上で、「地方自治体の公会計基準の統一と固定資産の整備が、喫緊の課題であると言える。」と説いている。
1.財務書類の作成モデルが複数存在し、統一されていないため、他団体との比較が難しい(P3)
現在、「総務省方式(10.5%)」「基準モデル(8.3%)」「総務省方式改訂モデル(73.3%)」「独自方式(1.0%)」と複数の財務書類作成モデルが存在している。どのモデルを選択するかについては各自治体の判断によるため、各自治体が公表する財務書類を比較することは難しい状況となっている。
2.6割以上の団体で固定資産台帳が電子化されておらず、約7割の団体で有形固定資産の取得時の金額の情報がない。そのため、資産の正確  な把握ができていない状況である(P13)
加えて、固定資産台帳の整備時期については半数以上が「未定」となっている。現状では半数以上の団体が固定資産台帳を財務書類に使用できる目途さえ立っていない。このように、多くの団体では財務書類を資産債務改革に役立てるのが難しい状況である。資産債務改革という目的から考えれば、まずは固定資産台帳の整備を急ぐ必要がある。
3.有形固定資産の評価方法は、約8割の団体が過去の決算額の積み上げであるため、財務書類の有形固定資産額は実態とは異なっている(P9)
過去の決算額の積み上げに使用するデータ(決算統計)は、昭和44年度以降に作成されており、取得時の有形固定資産の情報しか把握する事ができない。昭和43年度以前の情報、昭和44年度以降の除売却資産や譲渡で取得した資産については把握する事ができない。現状、約8割の団体が決算統計データを使用している。

 そして、「地方公共団体の財政健全化に関する法律」により、すべての自治体が「健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)」と、公営企業会計の「資金不足比率」を公表していることについて、多くの自治体は、こうした健全化判断比率や資金不足比率の基準値を下回ってはいる、とした上で、「将来的に少子高齢化社会を迎えて膨らんでいく財政需要を賄うことができるのかどうか、財政の持続可能性を評価するための情報が必要である」としているが、公会計の整備とは無縁の話であろう。課税水準の選択とそれぞれの課税水準における納税額の予測の話であって、現在も行われていることである。記事は、「また、住民への行政サービスが効率的・効果的に提供されているのかについて、検証できるような情報も欠かせない。財政状況の良しあしやサービスの効率性を測定するモノサシとして、公会計制度の整備は不可欠である。」とも説くが、「検証できるような情報」が公会計制度の整備から生まれるはずもないと思うのだが。記事は、「今後の公債発行では海外投資家の目も意識」する必要があり、「現在、公債は国内の預貯金などで消化されているが、将来的には国内で消化できなくなる可能性がある。その際には、海外投資家や国内機関投資家(年金、保険会社など)、財政・会計分析の専門家から見て、理解できるような財務報告が必要になる。そのためには、国際的な公会計基準に準拠した財務報告が欠かせない。」と説くが、確かに公会計の素人に対しては、企業会計的な財政状況の説明が有効であることは間違いないだろう。ただ、記事が説く「現行の官庁会計には「4つの欠如」」は合点がいかない。「(1)単式簿記による「ストック(Stock)情報」の欠如」と言うが、ストック情報が歳入歳出決算とは別立てになっているだけで「欠如」しているわけではないし、欠如している部分があっても、それは単式簿記のためではない。「(2)現金主義による「コスト(Cost)情報」の欠如」と語っているが、複式簿記が「コスト」情報を示し得るのは、一物二価を処理するための体系であるから、ということを理解していないことから来る錯覚である。公会計にコスト情報を求めるならば、ABC分析をすればいいだけの話だ。「(3)住民への決算要領の公表について、一定のルールがないことによる「アカウンタビリティ(Accountability)」の欠如」としているが、「地方公共団体の財政健全化に関する法律」も「一定のルール」作りに他ならないはず。「(4)予算(Plan)と執行(Do)が重視され、検証・評価(Check)、見直し(Action)が十分に実施されていないことによる「マネジメント(Management)」の欠如」とあるが、これは官庁会計の問題ではなく、むしろ、自治体のガバナビリティの問題であり、これを改善すべく、近年の地方自治体における事業評価や事業仕分けの努力があるとみるべきだろう。そして、記事は、「つまり、新しい公会計制度は、これら4項目が欠如した現行の公会計制度を、補完・改善するものでなければならない。そのためには、以下のような対策が必要である。」として、
(1)ストック情報の欠如への対策として、貸借対照表を作成する。また、全体の財政状況をつかむために、公営企業や外郭団体などを結びつけた「連結貸借対照表」を作成する。

(2)コスト情報の欠如への対策として、行政活動の経済性や効率性を判断する重要な情報となる「行政コスト計算書」を作成する。

(3)アカウンタビリティ(説明責任)の欠如への対策として、広報、インターネットなどにより住民に情報を公開する。また、アニュアルレポート(年次財務報告書)の作成を行う。

(4)マネジメントの欠如への対策として、「政策形成(Plan)−執行(Do)−検証・評価(Check)−見直し(Action)」のマネジメントサイクルを確立する。多くの自治体では行政評価が試みられているが、サービス提供のフルコストを把握して、予算編成や事業見直しにまで活用する必要がある。

と説く。そして、記事は、「こうした官庁会計の問題点を根本的に解決するために、東京都は2006年度(平成18年度)から、「複式簿記・発生主義会計」へ本格的に移行した。」と紹介し、「地方自治体の公会計改革は、「複式簿記・発生主義」の導入が目的なのではなく、公会計改革を行財政改革のツールとして、真に実効性あるものにしていくことを目指すものでなければならない。」と締め括っている。
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NPO(非営利活動)の取り組みや成果を数値化する会計基準

 OurPlanet-TVサイトに4月12日に掲出されていた「ボランティア活動を収益計上!?NPO法人会計基準策定プロジェクト終盤に」〔取材・文 池田佳代〕という記事によると、国内約80のNPO支援団体ほか民間助成団体や趣旨に賛同する個人が参加するNPO法人会計基準協議会が昨年3月、NPO法人会計基準策定プロジェクト〔ブログ〕を開始しているようだ。NPO法が施行されて12年になり、法人登録は約4万となっていて、活動に参加する人も増え、「新しい公共」を掲げる現政権はNPO活動のさらなる発展に期待を寄せているが、会計基準がないことで、寄付をしたい人や助成団体にとっては、会計書類の表記方法がばらばらで比較ができない、資金の使途が分かりにくいという課題があったという。また、会計士や税理士などが支援しにくく、経営判断が正確にできないことから社会的な評価にも結びつけにくかったともいう。そこで、NPO(非営利活動)の取り組みや成果を数値化する会計基準を作り、解決をめざしているということのようだ。ボランティア活動を可視化する基準がほしい、という声に応えて、本文に「財務諸表の注記」を設け、ボランティアなども財務諸表に計上するという。財務諸表は「収支報告書と財産目録」から「活動計算書と貸借対照表」という形式に移行するが、小規模のNPOにも使いこなせるよう実務担当者向けの「ガイドライン」を作成するとのこと。財産目録は付属書類という位置づけだというが、財産が現金と預金のみ、というNPOが大半だという現状を反映していると記事は伝えているが、意味不明。財産目録には資産しか計上されないのか??また、年度をまたいだ事業の処理も規定し、助成金や補助金などの決算期とのずれにも対応している点も、管理会計に不慣れな体制が多いNPOには朗報といえそうだと記事には書かれている。参加者との意見交換の場面で、同協議会の加藤俊也事務局長(公認会計士)は、「公益的なサービスの実施がNPOの目的だとしたら、ボランティア活動に関する労賃も計上したほうがよいだろう(現金は発生しない)。手間暇かかるが、それによって活動の規模が正しく表せると考えられる団体は、それを導入したらいいと思う」と述べており、これに関連して、同協議会策定委員の大久保朝江氏(杜の伝言板ゆるる代表理事)は、「活動を数値化することは、安い労働力として委託事業が降ってくるような状況への対策にも有効では」と加えたとか。同協議会によると、市民に活動の価値への理解を深めるための書類の一つであり、公官庁の求める様式に沿った書類作成とは別の意味合いのもので、そのため、所轄庁や税務署などに提出する書類に変更が生じるものではないとの由。また、これら会計基準に準拠した会計ソフトも検討しており、社会全体からNPOへの寄付を増やして活動をより充実させるために、みんなで「NPO法人向会計基準」に参加することを目標にしていきたい、と述べていると記事は伝えている。
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売却を予定していない物も価値を測るという発想

 日経電子版に4月15日に掲出されていた「省庁の美術品、価値を開示へ 財務省が指示」という記事は、財務省が各省庁に対し、保有する絵画や彫刻などの美術品を把握し、価格を評価するように指示したと報じている。記事によると、政府が保有する美術品の価値を正確に把握していないことに対して「国民の財産が適切に管理されていない」との指摘に応えるもので、早ければ今秋にも価値を時価評価し、早期に情報開示したい考えという。現在、国の財産で価格を把握できているのは、50万円以上の価値がある機械や器具など物品管理簿に登載されるものに限られており、価格を管理する必要がない絵画や彫刻、書、書物など美術品は、物品管理法に基づいて管理簿に品目と数が記載されているものの、当然のこととして価値は把握していない。記事は、すべての美術品が管理簿に記載されているかどうかも不明とも伝えている。記事によると、財務省は5月中に美術品のリストを提出するように各省庁に要請しており、これは、国民共有の財産を適切に把握して管理するためで、評価後は物品の管理簿に価格情報を記載したり、国会などに報告したりする可能性があると記事は伝えている。もちろん記事は、国の美術品には国宝や重要文化財などが含まれ、「価値をお金では計れない」との声もあるとも伝えており、価値を把握できても簡単に売却するわけにはいかないこと、文化庁だけでも約200の重文や国宝があるとみられ、政府関係者の中には「価値を評価するために専門家に支払うコストがかかる。費用対効果が悪い」との指摘もあることをも伝えている。

 なお、この件は、記事の前に3月24日の財務大臣記者会見における冒頭発言で次のように説明されている。
 なお、若干話が変わりますが、この間の議論の中で美術品について色々この間、非常に美術品が高くなったことによって、なかなか国民の皆さんに見てもらうための、そういったことに非常に難しさが出ているということで、現在文科省との間で例えば保険の問題などに若干の支援をするのかということを検討していただいております。さらには、美術品について、これはある国会の審議であったわけですが、竹は国の財産としてちゃんと数字で計上されていますが、極めて額としては小さいわけですが、国が持っている美術品等については全く資産として計上されていないと。これもおかしなことであるということで、国で管理している財産については美術品についてもきちっと把握出来るようにということで、今その把握を検討させているところであります。
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公営企業会計にキャッシュフロー計算書

 21年4月に全面施行された地方財政健全化法では、自治体に公営企業や第三セクターなどを含めた連結での財政状況を把握させ、一体的な財政再建を促しているが、日経電子版が4月7日に掲出した「総務省、公営企業にキャッシュフロー計算書を義務化」によると、総務省が今秋にも地方公営企業法関連の政省令を改正し、病院や水道、鉄道などの公営企業に対してキャッシュフロー(現金収支)計算書の作成を義務付けるという。上場企業に近い会計基準を適用して、収益や資産に加え資金繰りの状況も明らかにし経営改善につなげると記事は解説している。記事は、キャッシュフロー計算書について、営業や投資、財務に絡んだ現金の出入りを詳細に示したもので、債務の返済能力など経営の健全性を見極める主要財務諸表の一つとして活用されているとし、人口減少などで財務内容が悪化している地方の公営企業は多く、現金収支の開示で厳しい経営の実態が浮き彫りになる可能性もあるとしているが、現金収支の開示の話ではなく損益計算書と組み合わせての話だと思う。新たな書類作成に伴う人員や設備などの負担を考慮して適用は25年4月からで、公営企業が資金繰りの概要を示すため作成している現行の「資金計画書」は廃止する予定という。
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独立法人会計基準の改定

 総務省サイトは3月30日に「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂」と題して次のように公表している。

  • 独立行政法人の会計については、原則として企業会計原則による(独立行政法人通則法第37条)こととされており、公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としないなどの独立行政法人の特殊性を考慮して、独立行政法人会計基準が定められています。

  • 企業会計においては、現在、企業会計基準と国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスに向けた取組みの一環として、企業会計基準等の改正・設定が相次いで行われており、平成21年度以降に適用となる改正や新たに適用される基準が存在します。これら新たな企業会計基準の適用に対応するため、総務省が開催している「独立行政法人会計基準研究会」と、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」とで連携し、両者の共同ワーキング・チームにおいて、具体的な検討を行ってきました。

  • 今般、「独立行政法人会計基準研究会」(3月30日開催)及び「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」(3月30日開催)において、それぞれ共同ワーキング・チームからの報告を受け、『報告書「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂について』が了承されましたので、別添(「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」)のとおり、公表するものです。
    (なお、本件については、財務省においても同時に公表しております。)

  • なお、「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂にあたっては、共同ワーキング・チーム(計3回開催)における取りまとめを受けて、本年3月19日から26日までの期間、改訂案を公表し意見募集を行ったところ、会計処理に関する技術的な意見(1件)の提出がありました。

  • 添付資料
    改訂の新旧対照表(PDF)


 総務省サイトは「財務省においても同時に公表しております」としているが、同日に財務省サイトで公表されているのは「財政制度等審議会 法制・公会計部会(3月30日開催)配付資料」であり、同文ではあるかもしれないが「案」としてであり、「公表」とまでは言い難い。
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桜内氏が参議院議員へ

 毎日jp愛媛ページに3月23日地方版として掲出されていた記事「選挙:参院選 比例代表に桜内氏 みんなの党公認候補で /愛媛」〔柳楽未来〕によると、今夏の参院選に元財務省課長補佐の新人、桜内文城氏(44)〔宇和島市出身で東大法学部卒。昭和63年に旧大蔵省に入省し、平成19年9月に退職して新潟大准教授も務めた。〕が22日、みんなの党の比例代表の公認候補として立候補することを表明したという。同日、宇和島市祝森の事務所で同党の渡辺喜美代表と記者会見した桜内氏は「南予地域を起点として、松山などに活動を広げていきたい」と語ったと記事は伝えている。記事によると、桜内氏は昨年8月の衆院選で愛媛4区から、同党の推薦を受けて無所属で立候補し、落選した経緯があるという。桜内氏は「デフレ脱却のために成長戦略をきちんと訴えているのはみんなの党だけだ」と同党の公認候補として出馬した理由を説明したと記事は伝えている。
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