公会計制度見直しの動向

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21年度の国の財務書類は23年6月28日に発表

 財務省サイトは6月28日の新着情報(報道発表資料)として「財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会(6月28日開催)配付資料」を掲出している。その日の会議は「独立行政法人会計基準の改訂等について」と「平成21年度 国の財務書類について」が議題となっており、その議事録によると、前者は審議事項だが、後者は報告事項で会議後に公表するとされている。
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財務大臣が費用対効果に言及

 2月14日の参議院決算委員会で国の会計の企業会計的表示化について問われた財務大臣が費用対効果を考慮しつつ進める必要性を述べている。財務省内部での議論を様々に想像することができる答弁になっている。
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産経が東京都方式を推奨する記事

 MSN産経ニュースサイトが12月9日に掲出している「財政健全どっちが分かる? 自治体会計の規格めぐり綱引き」という記事は、自治体の財政健全化に向け、企業会計に近い財務諸表を作成する「新公会計制度」に、規格争いが持ち上がっていると報じている。まず、「自治体の財政健全化に向け」という表現に違和感を覚えるが、記事は、続けて「多くの自治体が採用する総務省モデルと、東京都が独自に開発した方式が併存。大阪府はこのうち都方式の導入に踏み切る。ルールの統一が急がれているが、優れているとされる都方式の方が少数派。「VHS対ベータ」のようなかつてのビデオデッキの規格争いをほうふつさせる“泥仕合”になる恐れもある。」としている。
 記事は、「改革は東京都庁から」との小見出しを付けて「これまでの自治体会計は、1年間で現金の出入りを記す単式簿記。借金も自治体に現金が入ってくる形のため「収入」として扱われるなど「財政の実態が見えにくい」との批判もあり、経営の観点で財政を考える上ではこの仕組みは不十分という指摘があった。」とし、「この解決にいち早く乗り出したのが東京都庁。新会計に関する検討委員会を平成14年に立ち上げ、17年には複式簿記を用いた独自の仕組みを開発した。」とするが、これは、ちょっと事実誤認と言うべきだろう。たしかに、東京都は第三セクターの問題を民間有識者に相談してバランスシートがないことに呆れられて取り組み始めたわけだが、例えば、自治省(現総務省)がバランスシートの作成手法について取りまとめた「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」(概要)は平成12年のものだ。いわば、この改訂前モデルがあるからこそ、現行の総務省の二つのモデルの内の一つは改定モデルと称されているわけだが、記事は、「東京都の動きに対し、総務省も18年5月、2種類の新しい会計モデルを公表。リアルタイムで財政状況を把握しにくいといったデメリットもあったが、「この方式を導入すれば、全国の自治体同士の比較をしやすい」という意見も根強く、大半の自治体はこちらを採用することになった。」と、あたかも総務省モデルが後発であるかのように伝える。そして、「少数派となった東京都と大阪府は多額の資金を投じてシステム開発をしている上、自陣営が優れているとの自負もあり、ほかの自治体を引き込もうと、11月上旬に都庁に全国の自治体の会計担当者らを集めたシンポジウムを開催。東京都方式のメリットを訴えている。」と説いている。このシンポジウムとは、これのことと思われる。
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長野県のバランスシートが報じられている

 地方自治体がバランスシートを作ることが求められているが、それが注目されることはあまりなさそうだ。そのなかで、信濃毎日新聞社は11月13日に「県の資産は275億円増 09年度バランスシート」を掲出している。記事は、長野県は12日、21年度の普通会計(一般会計と10特別会計)のバランスシート(貸借対照表)を公表したと伝えるもので、総務省の新たな公会計基準での算出に切り替えて2年目という。公共施設などの資産は前年度比275億円(0・7%)増の4兆1705億円だった一方、県債などの負債も同359億円(1・9%)増の1兆9267億円で、県民1人当たりの負債額は89万1千円と前年度より1万9千円増えたと伝えている。資産は、減価償却により道路や橋、公園などの有形固定資産が前年度比407億円減少し、一方、国の追加経済対策予算に伴う交付金を積み立てた基金が同493億円増加し、現金預金も同196億円増えているとか。県民1人当たりの資産は同1万9千円増の192万9千円という。負債の増加は、県債のうち地方交付税の不足分を補う臨時財政対策債が増えたことが主な要因で、県債は翌年度償還予定分を含め1兆6191億円に上るが、このうち8808億円(54・4%)は、地方交付税の計算に算入され、不足分は後年度に補てんされる、としているという。公共資産のうち、これまでの世代が負担した割合(現世代負担比率)は、前年度比0・4ポイント増の57・8%で、一方、将来世代が負担する割合(将来世代負担比率)は同1・6ポイント増の41・7%だったとか。一方、資産形成につながらない行政サービスにかかった経費を示す「行政コスト計算書」も作成されており、経常行政コストは、組織見直しや職員給与の削減による人件費の減少などで、同126億円減の6526億円となっており、県民1人当たりの経常行政コストは同5千円減の30万2千円という。県はほかに、公営企業、第三セクターなど外郭団体分を連結したバランスシートなども公表したとも伝えている。

公表資料:[訂正版]新地方公会計に基づく財務諸表(平成21年度決算)の公表について(PDF形式:79KB/1ページ)
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東京都と大阪府が公会計改革白書を作成した

 東京都サイトは11月11日に「「公会計改革白書」について」を掲出して次のように説明している。
 東京都は大阪府と共同で、これから会計制度の改革に取り組んでいく自治体の参考となるように「公会計改革白書」を作成しました。
 会計制度の改革を進めていくには、複式簿記・発生主義会計の利点や必要性を正確に認識することが前提となることから、本書では、日本の公会計の現状や課題の分析、近時の海外事例の調査などを行っています。また、今後の公会計制度改革の検討の方向性についても提言しています。
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東京都と大阪府が公会計制度改革のシンポジウムを開く

 東京都公式サイトに掲出された案内によると、11月11日に東京都と大阪府の共催で公会計制度改革のシンポジウムを開くようだ。

 東京都方式のアピールの場というわけでもなさそうだ。
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3方式統一へ

 現在、自治体財務の複式簿記的表示には、森田方式及び桜内方式の総務省2モデル東京都方式の三つがあるが、日経電子版サイトに9月17日に掲出されている「総務省、自治体会計の基準統一へ研究会 国際基準に対応」という記事によると、この3方式が統一の方向で研究会が開催されるという。
 記事の書き出しは「地方自治体に民間企業並みの財務諸表作成を求める公会計改革で、総務省は会計基準の統一に向け新たな研究会を発足させる」というもの。すでに9割を超える自治体が貸借対照表などを作成済みか作成中だが、自治体によって基準が異なるため、比較できないなどの問題が生じており、国際公会計基準に対応した統一基準作りを目指して、住民が理解しやすくすると記事は伝えるが、複式簿記が分かる人が分かるだけの話だし、複式簿記が分かる人でも分かるかどうかは疑問。記事によると、今月30日に1回目の研究会を開催し、総務省が提示している2つの公会計モデルと独自方式で作成している東京都を主に比較し、使い勝手や活用状況を検証するという。現在は資産を取得原価で評価するか時価評価するか、税収を企業の売り上げと同じようにみなすか資本金のように扱うか、といった点で対応が分かれており、総務省のモデルのひとつは現金ベースの歳入・歳出決算を組み替えることで貸借対照表などが作成でき、自治体の事務負担を軽減できるというメリットがある半面、企業会計のような「発生主義・複式簿記」にはなっていないとし、国際公会計基準とかい離し、わかりにくいとの批判も出ていたと記事は伝える。研究会の座長には青山学院大学の鈴木豊教授が就任する予定であり、メンバーには国際公会計基準審議会の関川正委員(日本公認会計士協会常務理事)も入り、国際公会計基準との整合性を図るという。東京都や大阪府、財務省の担当者にもオブザーバーで参加してもらうとのこと。現金ベースの予算・決算には減価償却や退職金の引き当てがなく、インフラ施設の更新に必要な額や団塊世代の退職で生じる退職手当が外部からはわからないなど、多くの問題を抱えているというが、将来給付債務を計算すればいいだけの話であり、その計算を必要とするのが複式簿記というだけのことで、本質的には別次元の話なんだが。

 森田方式はもともと過渡的な方式として位置付けられていたわけだし、桜内さんは「みんなの党」の議員になってしまったので研究会には参加しにくいだろうし、大阪府も参考にするという東京都方式に統一化されるのかな。
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大阪府は基準モデルではなく東京都の方式を参考にする

 MSN産経ニュースサイトに8月17日に掲出されている「大阪府が平成24年度から新公会計制度導入へ」によると、大阪府は16日、平成24年度から、民間企業の会計方式を導入した新公会計制度を導入すると発表したという。新制度では府の事業を251に分類し、事業ごとの人件費も含めた収支を計上する方針であり、府によると、民間方式を取り入れることで、行政の専門知識がなくても理解しやすい会計制度となると記事は伝える。記事は、発表を受ける形で、これまでは現金主義の会計制度で、例えば、借金も府の収入に組み込まれる制度になっていたほか、資産の計上などにも支障があるなど、財務マネジメントの側面からはわかりにくい部分もあり、新制度では、固定資産もサービス能力の低下に応じて帳簿価格を減額する減損会計も導入し、府債の残高や利払いの状況も実態に即してわかりやすく表記するように改めると伝えている。ただ、それが何の役に立つかは明らかにしていない。記事によると、大阪府は当初、総務省の基準モデルを採用する方針だったが、「財務マネジメントにいかせる会計制度にすべきだ」という橋下徹知事の意向を受けて、東京都の手法を参考に新システムを構築することにしたという。新制度は、23年度から試験運用を始め、問題点の修正などを行ったうえで24年度から本格導入する見通しとか。

公表資料:「大阪府の新公会計制度(案)」の公表及び府民意見等の募集について
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21年度決算で個別政策の行政コスト把握へ

 日経電子版に7月30日付けで「情報元 日本経済新聞 朝刊」として掲出されていた「政府、政策の総コスト開示 比較通じ無駄省く 年度内、09年度決算分200事業算出へ」という記事によると、政府は21年度決算分から、各省庁が政策ごとに使った人件費や物件費を含む総コストを開示する方針を決めたという。省庁ごとに「バリアフリー社会の実現」や「電子政府の推進」など10〜15程度の政策の総コストを算出するもので、各省庁にコスト意識を徹底させるほか、年度ごとの総コストの変化や他事業との比較を通じ、予算の節約を目指す狙いと記事は伝えている。具体的には、財務省が29日付で、各省庁に21年度決算に基づいて政策コストを算出したうえで公表するように要請しており、省庁ごとに算出作業を進め、今年度内に200程度の政策の総コストを公表するという。政府は予算や決算に加え、国の財務状況を企業会計に準じた方式でまとめる「財務書類」を毎年公表しているが、これらで政策ごとの事業費は把握できるものの、事業執行のための人件費などは各省庁で一括計上されるため、政策にかかった総コストは分からず、財務相の諮問機関である財政制度等審議会が、人件費や物件費など複数の政策にまたがる共通経費をどう振り分けるかといった基準を作成し、全省庁で200程度ある政策ごとに総コストを開示するように提言していたという。各省庁が作成する書類には政策ごとに人件費、物件費、事業コストなどを明記する方針と記事は伝えている。記事によると、コスト情報の開示を強化するのは、公務員の意識改革を通じて予算の無駄遣いの削減につなげるためであり、各年度のデータを蓄積することで、同じ事業の総コストを比較して予算節約の余地を探したり、他事業と比較して国の予算の資源配分を見直したりすることがやりやすくなるという。21年度決算分については初年度の書類作成の手間を勘案し、テーマで大きく分けた政策ごとの開示にとどめており、より詳細な政策ごとの開示が今後の検討課題になるとか。記事によると、一部の地方自治体は国に先行して行政コストの開示を充実させており、札幌市は図書館運営、清掃業務などの詳細な政策ごとに人件費や物件費を算出しており、市民1人や1世帯あたりのコストを分かりやすく示しているとか。海外では米国や英国が省庁ごとに政策目的別の総コストを開示しているとのこと。

 要はABC分析ということか。
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市町村の6割が20年度財務諸表を作成済み

 総務省は18年に指針を策定して財務諸表を21年度中に作るよう自治体に求めていたが、日経電子版の7月26日の記事「財務諸表作成、市町村6割どまり 08年度決算」によると、総務省がまとめた地方自治体の財務諸表の作成状況調査で、同省の求めた貸借対照表などを「作成済み」と回答した市区町村が全体の64%にとどまっているという。都道府県の89%と比べると遅れが目立つと記事は評している。税収減で自治体の財政運営は厳しさを増しており、財政状況を各自治体がきちんと把握し、住民に情報開示するうえでも、取り組みの徹底が求められそうと記事は伝えているが、ちょっと勉強不足。自治体にとっては、財務諸表作成費用は冗費。総務省は貸借対照表のほか、資金収支計算書、行政コスト計算書、純資産変動計算書の合わせて4つの財務諸表の作成を求めており、20年度決算について、3月末時点の作成状況を調べたところ、1750団体の市区町村のうち、4つの財務諸表の少なくとも1つでも作成済みだった市区町村は1119団体で、作成中が474団体、未作成が157団体あったとか。財務4表をそろって作成している市区町村はさらに少なく、686団体で全体の39%にとどまっているとのこと。
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