公会計制度見直しの動向

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国のバランスシートから国の財務書類へ

 6月23日付け日経金融新聞10面に「政策実現コスト公表――財務省、国の財務諸表拡充、今秋から」の記事。
 記事は、財務省が今秋から国の財務諸表を拡充し、これまでは国と特殊法人などの貸借対照表(バランスシート)だけを公表してきたが、今後は政策実現にかかった費用を示す計算書や民間会計のキャッシュフロー(現金収支)計算書にあたる資料の公表も始めると報じる。国の財務情報の公開を強化し、財政運営の透明性を高めるのが狙いとか。財務省は10年度分から国のバランスシートの作成を始め、今秋は15年度分を公表する予定だが、今回はバランスシートに加え、新たに「業務費用計算書」「資産・負債差額増減計算書」「区分別収支計算書」の3種類の財務諸表を作成し、「国の財務書類」として一括して公表するとか。業務費用計算書では人件費、減価償却費、補助金など政策実現にかかったコストを開示し、資産・負債差額増減計算書では、「純資産」が前年度比どのくらい増減したかを明らかにし、区分別収支計算書では税収などから人件費、補助金などの支出を差し引いた「業務収支」、国債発行や借入金で、どれだけ現金が入ったかを示す「財務収支」を明らかにするとのこと。
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主計局が庁費一元化を認める方向のよう

 読売は6月16日3時3分に「予算要求方法を一部是正、財務省が「共通経費」導入へ」を配信。
 記事は、財務省が15日、政策別に縦割りになっている予算の要求方法の一部を改め、省庁ごとに一括して要求する「共通経費」を導入する方針を明らかにしたと報じる。18年度予算から実施するとのこと。現在は政策ごとに「電話を何回かけるか」「どのぐらい電気代を使うか」などを想定して予算要求しているが、役所の電話や照明などは政策ごとに使い分けられているわけでなく、要求方法が現実離れしているとの指摘があり、財務省は、通信費、光熱費、備品費、印刷費、会議費、タクシー代、出張旅費などを「共通経費」とし、各省庁単位で一括要求することを認めることにしたと記事は伝える。また、「実際に行われていない行事」や「存在しない研究会」などの名目で予算要求が繰り返されたケースが相次いでいる背景に、現実的な積算に基づかずに通信費や出張旅費を要求してきた長年の慣行があるとの見方もあり、財務省は各省庁に、「何年も執行されていない事業」や「名目と違う事業」などの不適正な要求がないか、過去3年分の総点検を文書で要請し、要求方法の改革と合わせて不透明な予算要求の一掃につなげたい考えと記事は伝える。

 政策別予算編成とどう整合させるのか興味津々。
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財務省の方針は財務状態の表示における発生主義の採用

 4月27日の参議院決算委員会で興味深いやり取りがあった。
 国の会計を変えていくことについて、複式簿記化、発生主義化、連結化が必要とする委員の質問に対する財務大臣の答弁は、まず、「確かに明治二十二年までは複式簿記を日本も採用していたと。その後、現金主義単式簿記に改めたというにはそれなりの理由もあったんだろうと思います」とした上で、発生主義は期間損益の把握のために必要とされるものであって、公活動のために必要な租税の徴収額とその配分のための国の予算は性格が異なること、しかし、事業コストの把握や資産・負債の把握のためには有用なので、その限りでは発生主義の考え方を活用すること、そのような考え方から国の財務書類を検討・作成していることを述べている。
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政策評価の施策とと予算書の科目構成を同一にする動き

 読売は6月3日3時9分に「予算書と事業名統一、政策評価に新指針…総務省策定へ」を配信し、総務省が2日の自民党総務部会で、各省庁の施策や事業を事前・事後に点検する政策評価制度について、政策評価調書と予算書、決算書の事業名を統一することを柱にした見直し案を正式に提示したと報じる。事業の評価を確実に予算に反映させ、税金の無駄遣いをなくす狙いがあるとのこと。総務省は、これらの具体策を盛り込んだ新たな運用指針を年内に策定して18年度から実施することを目指していると記事は伝える。政策評価制度の見直しは、14年4月に施行された政策評価法が付則で3年後に運用状況の検討を求めたことに対応するもので、総務省は新指針に、〈1〉新規事業の事前評価と事後検証の積極的実施、〈2〉事業の達成目標の数値化などの明示、〈3〉各省庁の情報公開の徹底、などを盛り込む方針とか。

<参考>行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年六月二十九日法律第八十六号)
附則
(検討)
第二条  政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
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