公会計制度見直しの動向

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東京都が23年度財務諸表を発表

 MSN産経ニュース関東ページが9月14日に掲出している「23兆8918億円 都の正味資産5年連続増 税収減4年連続も道路などインフラ資産増」によると、東京都は14日、新公会計制度に基づく平成23年度の財務諸表と年次財務報告書を公表した。一般会計と一部の特別会計を合わせた「普通会計」の貸借対照表によると資産から負債を引いた正味財産は23兆8918億円と、前年度から2563億円増加しており、年次財務報告書作成を開始した18年度から5年連続の増となったという。都税収入は初の4年連続減少だが、都財務局によると投資的経費を継続的に投入したことで道路や橋などのインフラ資産が増加し、さらに都債償還が進み負債が減少したことで、正味資産は増加しているとのこと。貸借対照表によると資産は22年度比3634億円増の32兆2960億円、負債は同1070億円増の8兆4042億円であり、23年度決算の歳入は同767億円増の6兆2474億円、歳出は同666億円増の6兆788億円で、実質収支は4億円とほぼ均衡していて、経常収支比率は95・2%だったとか。企業の損益計算書にあたる「行政コスト計算書」、資金の収支をあらわす「キャッシュ・フロー計算書」もともに黒字とも。

公表資料:東京都の財務諸表概要版 
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公会計の企業会計導入は3割程度で反応あり

 東洋経済サイトの「15.0%――固定資産台帳の整備が完了している地方自治体の比率《気になる数字」〔データ事業局「気になる数字」調査班 =週刊東洋経済2012年7月28日号〕という記事(12/08/09 | 12:00)によると、総務省は18年から、全国の地方自治体に新たな公会計制度の導入を求めてきたが、道路や橋などの固定資産台帳の整備が完了している地方自治体は、いまだ15.0%にとどまっており、台帳整備の完了時期が未定の自治体も60.4%に上っているという。23年11〜12月、日本生産性本部が全国の都道府県、市区町を対象に実施した調査でわかったもので、これについて記事は、地方新公会計制度の趣旨は、これまでの決算統計的な自治体会計に、企業会計的な決算手法を導入すること。固定資産台帳の整備によって、資産や負債の情報を金額で管理することが求められているが、その取り組みは一向に進んでいないようだと解説する。今のままでは、1980〜90年代に大量に整備された社会資本の状況が正確に把握できず、その計画的な更新に支障を来すことが懸念されると記事は説くが、別に道路台帳と橋梁台帳はあるわけだから無用の懸念だろう。また、財務諸表を公表しても、住民や議員から「特に反応がなかった」とする自治体は70.9%にも上っており、一方、財務諸表を作成している自治体のうち11.6%は公表さえしておらず、83.7%の自治体は財務書類についての監査を実施していないとして、利用する側の無関心さが目立つと同時に、自治体側の意識もまだ低いとするが、もともと公会計に企業会計を導入する意味は投資家対応しかないのだから、当然と言えば当然のこと。企業的な概念を導入することで自治体経営の効率化を目指した新公会計制度だが、それを達成するには、自治体側、利用者側ともに、インセンティブをどう利かすかが課題となっているようだと記事は説くが、マスメディアが勘違いに気付けば、それで十分と思う。
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