公会計制度見直しの動向

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公営企業会計基準の適用範囲拡大へ検討開始

 日経サイトが6月21日に掲出している「全公営企業に民間会計基準、18年度にも 経営改革促す」〔有料会員限定〕によると、水道、病院、地下鉄、電力といった約3千の公営事業には26年度予算から民間並みの会計の導入を義務付けているが、総務省は30年度にも、扱いが未定だった下水道や簡易水道など残りの約5800事業にも導入する方向で検討に入ったという。約8800あるすべての公営企業全てへの適用を目指すもので、人口減で経営が悪化する企業が増えているが、会計基準が特殊で住民にわかりにくかった経営実態を明らかにし、自治体に施設の統廃合や住民から徴収する料金の引き上げなどの経営改革を迫ると記事は伝えている。新しい基準によると、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の作成を義務付け、外部から損益、資産・負債、現金の状況がわかりやすくなるとしているが、通常の民間企業の財務諸表を見慣れた人に分かりやすくなるというものだろう。特殊な会計基準を改めるほか、退職金など将来支払うお金もあらかじめ負債に計上し、収益性の低下した資産の帳簿価格を下げる減損処理も採用する内容ではある。記事は、経営の苦しさが明確になれば自治体も住民に事業の存廃や統廃合を提案しやすくなり、存続に向けて料金を上げる場合の理解も得やすいし、民間企業に事業取得や運営受託を促すことができ、経営改善の選択肢も広がると説いている。公営企業の決算規模は約17兆円で、9割が黒字だが、実態は自治体の一般会計から年3兆円超を繰り入れて運営費を賄っており、公営企業の施設の老朽化が進み、更新費用は増加の一途であり、放置すれば、一般会計の負担も増すと記事は伝える。自治体に連結ベースでの財政立て直しを促す法律が08年度に施行されたのを機に、公営企業の健全化に取り組む自治体は増えており、青森県黒石市は19年度から下水道の使用料を平均12%引き上げており、北海道釧路市は24年度から10年間の改革案をつくり、下水処理場などの民間委託で管理費を抑える方針を示していると記事は伝えている。全面適用は7月をメドに有識者らによる検討会を設けて協議する方針であり、全事業に導入を強制するか一部を任意にとどめるかも詰めるという。

 25年7月4日から「地方公営企業法の適用に関する研究会」が行われていることを報道しているのだろう。
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