公会計制度見直しの動向

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NPO(非営利活動)の取り組みや成果を数値化する会計基準

 OurPlanet-TVサイトに4月12日に掲出されていた「ボランティア活動を収益計上!?NPO法人会計基準策定プロジェクト終盤に」〔取材・文 池田佳代〕という記事によると、国内約80のNPO支援団体ほか民間助成団体や趣旨に賛同する個人が参加するNPO法人会計基準協議会が昨年3月、NPO法人会計基準策定プロジェクト〔ブログ〕を開始しているようだ。NPO法が施行されて12年になり、法人登録は約4万となっていて、活動に参加する人も増え、「新しい公共」を掲げる現政権はNPO活動のさらなる発展に期待を寄せているが、会計基準がないことで、寄付をしたい人や助成団体にとっては、会計書類の表記方法がばらばらで比較ができない、資金の使途が分かりにくいという課題があったという。また、会計士や税理士などが支援しにくく、経営判断が正確にできないことから社会的な評価にも結びつけにくかったともいう。そこで、NPO(非営利活動)の取り組みや成果を数値化する会計基準を作り、解決をめざしているということのようだ。ボランティア活動を可視化する基準がほしい、という声に応えて、本文に「財務諸表の注記」を設け、ボランティアなども財務諸表に計上するという。財務諸表は「収支報告書と財産目録」から「活動計算書と貸借対照表」という形式に移行するが、小規模のNPOにも使いこなせるよう実務担当者向けの「ガイドライン」を作成するとのこと。財産目録は付属書類という位置づけだというが、財産が現金と預金のみ、というNPOが大半だという現状を反映していると記事は伝えているが、意味不明。財産目録には資産しか計上されないのか??また、年度をまたいだ事業の処理も規定し、助成金や補助金などの決算期とのずれにも対応している点も、管理会計に不慣れな体制が多いNPOには朗報といえそうだと記事には書かれている。参加者との意見交換の場面で、同協議会の加藤俊也事務局長(公認会計士)は、「公益的なサービスの実施がNPOの目的だとしたら、ボランティア活動に関する労賃も計上したほうがよいだろう(現金は発生しない)。手間暇かかるが、それによって活動の規模が正しく表せると考えられる団体は、それを導入したらいいと思う」と述べており、これに関連して、同協議会策定委員の大久保朝江氏(杜の伝言板ゆるる代表理事)は、「活動を数値化することは、安い労働力として委託事業が降ってくるような状況への対策にも有効では」と加えたとか。同協議会によると、市民に活動の価値への理解を深めるための書類の一つであり、公官庁の求める様式に沿った書類作成とは別の意味合いのもので、そのため、所轄庁や税務署などに提出する書類に変更が生じるものではないとの由。また、これら会計基準に準拠した会計ソフトも検討しており、社会全体からNPOへの寄付を増やして活動をより充実させるために、みんなで「NPO法人向会計基準」に参加することを目標にしていきたい、と述べていると記事は伝えている。
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売却を予定していない物も価値を測るという発想

 日経電子版に4月15日に掲出されていた「省庁の美術品、価値を開示へ 財務省が指示」という記事は、財務省が各省庁に対し、保有する絵画や彫刻などの美術品を把握し、価格を評価するように指示したと報じている。記事によると、政府が保有する美術品の価値を正確に把握していないことに対して「国民の財産が適切に管理されていない」との指摘に応えるもので、早ければ今秋にも価値を時価評価し、早期に情報開示したい考えという。現在、国の財産で価格を把握できているのは、50万円以上の価値がある機械や器具など物品管理簿に登載されるものに限られており、価格を管理する必要がない絵画や彫刻、書、書物など美術品は、物品管理法に基づいて管理簿に品目と数が記載されているものの、当然のこととして価値は把握していない。記事は、すべての美術品が管理簿に記載されているかどうかも不明とも伝えている。記事によると、財務省は5月中に美術品のリストを提出するように各省庁に要請しており、これは、国民共有の財産を適切に把握して管理するためで、評価後は物品の管理簿に価格情報を記載したり、国会などに報告したりする可能性があると記事は伝えている。もちろん記事は、国の美術品には国宝や重要文化財などが含まれ、「価値をお金では計れない」との声もあるとも伝えており、価値を把握できても簡単に売却するわけにはいかないこと、文化庁だけでも約200の重文や国宝があるとみられ、政府関係者の中には「価値を評価するために専門家に支払うコストがかかる。費用対効果が悪い」との指摘もあることをも伝えている。

 なお、この件は、記事の前に3月24日の財務大臣記者会見における冒頭発言で次のように説明されている。
 なお、若干話が変わりますが、この間の議論の中で美術品について色々この間、非常に美術品が高くなったことによって、なかなか国民の皆さんに見てもらうための、そういったことに非常に難しさが出ているということで、現在文科省との間で例えば保険の問題などに若干の支援をするのかということを検討していただいております。さらには、美術品について、これはある国会の審議であったわけですが、竹は国の財産としてちゃんと数字で計上されていますが、極めて額としては小さいわけですが、国が持っている美術品等については全く資産として計上されていないと。これもおかしなことであるということで、国で管理している財産については美術品についてもきちっと把握出来るようにということで、今その把握を検討させているところであります。
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公営企業会計にキャッシュフロー計算書

 21年4月に全面施行された地方財政健全化法では、自治体に公営企業や第三セクターなどを含めた連結での財政状況を把握させ、一体的な財政再建を促しているが、日経電子版が4月7日に掲出した「総務省、公営企業にキャッシュフロー計算書を義務化」によると、総務省が今秋にも地方公営企業法関連の政省令を改正し、病院や水道、鉄道などの公営企業に対してキャッシュフロー(現金収支)計算書の作成を義務付けるという。上場企業に近い会計基準を適用して、収益や資産に加え資金繰りの状況も明らかにし経営改善につなげると記事は解説している。記事は、キャッシュフロー計算書について、営業や投資、財務に絡んだ現金の出入りを詳細に示したもので、債務の返済能力など経営の健全性を見極める主要財務諸表の一つとして活用されているとし、人口減少などで財務内容が悪化している地方の公営企業は多く、現金収支の開示で厳しい経営の実態が浮き彫りになる可能性もあるとしているが、現金収支の開示の話ではなく損益計算書と組み合わせての話だと思う。新たな書類作成に伴う人員や設備などの負担を考慮して適用は25年4月からで、公営企業が資金繰りの概要を示すため作成している現行の「資金計画書」は廃止する予定という。
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独立法人会計基準の改定

 総務省サイトは3月30日に「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂」と題して次のように公表している。

  • 独立行政法人の会計については、原則として企業会計原則による(独立行政法人通則法第37条)こととされており、公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としないなどの独立行政法人の特殊性を考慮して、独立行政法人会計基準が定められています。

  • 企業会計においては、現在、企業会計基準と国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスに向けた取組みの一環として、企業会計基準等の改正・設定が相次いで行われており、平成21年度以降に適用となる改正や新たに適用される基準が存在します。これら新たな企業会計基準の適用に対応するため、総務省が開催している「独立行政法人会計基準研究会」と、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」とで連携し、両者の共同ワーキング・チームにおいて、具体的な検討を行ってきました。

  • 今般、「独立行政法人会計基準研究会」(3月30日開催)及び「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」(3月30日開催)において、それぞれ共同ワーキング・チームからの報告を受け、『報告書「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂について』が了承されましたので、別添(「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」)のとおり、公表するものです。
    (なお、本件については、財務省においても同時に公表しております。)

  • なお、「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂にあたっては、共同ワーキング・チーム(計3回開催)における取りまとめを受けて、本年3月19日から26日までの期間、改訂案を公表し意見募集を行ったところ、会計処理に関する技術的な意見(1件)の提出がありました。

  • 添付資料
    改訂の新旧対照表(PDF)


 総務省サイトは「財務省においても同時に公表しております」としているが、同日に財務省サイトで公表されているのは「財政制度等審議会 法制・公会計部会(3月30日開催)配付資料」であり、同文ではあるかもしれないが「案」としてであり、「公表」とまでは言い難い。
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