公会計制度見直しの動向

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複数年度予算導入の動き

 東京新聞サイトが9月10日に掲出している「民主、複数年度予算を拡大実施 来年度から予算無駄遣い排除へ」〔共同〕という記事は、民主党が10日、新政権の予算編成の司令塔として新設する国家戦略局で、複数年度予算の来年度からの拡大実施を検討する方針を固めたと報じていて、その理由として、「各年度の予算を1年ごとに国会で議決する現行の単年度予算は、年度内に予算を使い切るのが前提」であるため、「不要な仕事まで行われ税金の無駄遣いが多くなっているとして複数年度予算が必要と判断した」と伝えている。複数年度にまたがった公共事業や各種研究予算などが対象となりそうで、民主党幹部は「複数の中央省庁幹部も理解を示している」と指摘していると記事は伝えている。国家戦略局担当相に内定している民主党の菅直人代表代行は8月、衆院選の街頭演説で、英国で複数年度予算が導入されていることを紹介し、その上で「年度末までに使わないと(国庫に)戻さないといけないので、最後になって無駄でもどんどん使う。こんな不合理なことは民間ではやっていない」と指摘していたという。

 ちなみに、現在も継続費制度はある。期末予算消化は、有期予算の期末処理の話で、継続費の下でも生じる可能性があり、単年度主義とは関係ない話だ。
 日経サイトに10月19日に掲出されている「複数年度予算を導入 政府報告書、11年度から」は、政府の国家戦略室が19日、22年度以降の予算編成のあり方に関する報告書をまとめ、これによると、23年度予算編成以降の「複数年度予算」の導入を明記しており、中長期的な財政規律を定めた指標を22年度中に示したうえで、23〜25年度の歳入見込みや歳出の骨格などを示す「中期財政フレーム」を策定する段取りを示しているという。インターネットを使った予算編成過程の透明化も盛り込んでいるとのこと。週内にも各閣僚にこうした方針に沿って予算編成を進めるよう求めるという。戦略室が想定する複数年度予算は、中期財政フレームで歳出・歳入の大枠や歳出削減の手法を示したうえで、それぞれの年度の予算に反映させる仕組みで、予算単年度主義を定める憲法に抵触しないとみているとか。複数年度予算の前提となる中長期的な財政規律などを示した「財政運営戦略」は来年半ばごろに策定する方針で、指標は債務残高やプライマリーバランス(財政の基礎的収支)などを検討する見通しという。
公表資料:予算編成のあり方に関する検討会 論点整理

 東京新聞サイトに10月23日に掲出されている「政府、複数年度予算を閣議決定へ 11年度から本格導入」〔共同〕は、政府が10月23日午前、予算編成に関する閣僚委員会を首相官邸で開いて、国家戦略室の報告書に基づき、実質的な複数年度予算の導入を柱とする予算編成の改革方針を了承し、続く閣議で正式決定して23年度予算からの本格実施を目指すと報じている。記事は、予算執行効率化と財政規律の維持が主な狙いだとし、来年夏からの23年度予算編成に先立ち、23〜25年度の歳出・歳入の全体像を示す「中期財政フレーム」を策定し、中長期的な財政健全化目標と併せて、衆院選で掲げた主要政策の段階実施に向けた財源確保策を明示すると伝えている。
公表資料:予算編成等の在り方の改革について(平成21 年10月23日閣議決定)
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複数年予算 | 小役人の備忘録 | 2009/09/22 09:24 AM
東京新聞サイトが9月10日に掲出している「民主、複数年度予算を拡大実施 来年度から予算無駄遣い排除へ」〔共同〕という記事は、 民??.