企業会計方式財務諸表の活用
ITProサイトに6月29日に掲出されている「地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革 第4回 財務諸表を活用した会計改革の達成状況」〔鵜川 正樹=監査法人ナカチ 公認会計士〕は、「財務諸表は、作成するのが目的ではなく、どのように活用するのかが課題となる」として、東京都の平成20年度決算の財務諸表を基に、財務諸表の活用の視点から、会計改革の達成状況を見ていこうとするもの。その結論は、「マネジメントの強化に財務諸表を活用する視点としては、(1)財務マネジメントの強化と、(2)予算編成への活用という2つがある」として、(1)については、具体的に、次のようなものが上げられているが、どれも発生主義だから可能になった、というものではない。
↑社会資本について今後、大きな更新需要があることは周知の事実。
↑前年度未収金については、毎年度、調定を行って当年度の徴収実績を把握しているはず。
↑現金主義会計の場合においても把握しているはず。
↑現金主義会計の場合も財産台帳の突合は行う。
また、(2)については、次のようにまとめている。
現段階では、そんなところだろう。
施設の価値の減少である減価償却累計額(1兆3000億円)から、今後の膨大な更新需要への対応が必要と判断して、「大規模施設等の改築・改修に関する実施方針」を策定した。今後の約10年間に発生する更新需要にかかる経費を8000億円程度と見積もって、社会資本等整備基金への積み立てを開始した。
↑社会資本について今後、大きな更新需要があることは周知の事実。
債権のうち未収金が多額(1300億円)にあることから、債権管理の強化が必要と判断して、「東京都債権管理条例」を制定(平成20年7月施行)。各局に債権管理者を設置し、全庁的な債権管理体制の強化を進めている。また、条例に基づく債権放棄の手続きを定めて、適切な欠損処理を行い、議会へ報告している。
↑前年度未収金については、毎年度、調定を行って当年度の徴収実績を把握しているはず。
財産管理の強化として、未利用地・遊休施設の有効活用(売却・貸付など)に取り組んでいる。
↑現金主義会計の場合においても把握しているはず。
固定資産管理の内部統制の強化として、財産台帳と現物資産の照合、事業目的と利用状況の把握、貸借対照表の残高と財産台帳との適時の照合などに取り組んでいる。
↑現金主義会計の場合も財産台帳の突合は行う。
また、(2)については、次のようにまとめている。
発生主義会計の財務情報を活用して、予算編成に活用できる事例は、現状ではまだ数少ない。しかし、事業の廃止・見直しという目的だけでなく、投資を伴う新規事業の選択やより効率的なサービス供給方法への変更など、前向きな活用方法が示されたことには大きな意義がある。
現段階では、そんなところだろう。
Comments