公会計制度見直しの動向

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自治体財政健全化の基準作りが難航している

 朝日サイトが11月6日に掲出した「自治体財政健全化の基準 「インフラ赤字」控除へ」は、自治体財政の健全度を測るための基準や計算式づくりに取り組んでいる総務省が、地下鉄や上下水道のインフラ整備で生じた赤字について、将来的に事業が黒字に転じると見込まれる場合などは計算上は赤字とみなさない方向で検討に入ったと報じている。赤字とみなして計算すると、これらの事業に取り組む自治体の財政が見かけ上、大きく悪化するためだとか。自治体の財政破綻を未然に防止するため、今年6月に成立した地方自治体財政健全化法では、自治体の一般会計に加え、上下水道などを含む特別会計もあわせて、連結実質赤字比率や実質公債費比率といった財政指標で健全性を測ることになっており、指標が基準を超えると、起債制限などの措置がとられるが、地下鉄や上下水道事業などには巨額のインフラ整備が必要なため、地下鉄や下水道整備に取り組んできた横浜市が昨年度の集計で、政令指定都市では実質公債費比率が最悪になり、施設建設などの単独事業の起債が制限される基準を超えるといった事態が発生したという。そこで、これらを赤字にみなさないよう求める声が自治体から出ており、総務省は、耐用年数が長いインフラ投資をする場合は、必ず赤字が発生するが、これらの事業では、短期で利益を上げることを想定していないことなどに着目し、資金不足比率など財政指標を計算する際には、これらはやむを得ず生じる「計画赤字」と位置づけて、赤字に算入しない方向で検討に入ったという。地下鉄が全面供用したあとも赤字になったケースなどでも、将来的に赤字を解消できる見込み額が客観的に計算できる場合には、「計画赤字」として控除を認めることも検討しており、造成から分譲まで時間がかかる宅地造成事業でも、控除が可能かどうか検討中というが、実際には、地下鉄建設に巨額の費用がかかったうえ、乗客も見込みを下回り、自治体財政の重荷になるといった事態も起きており、このため、必要以上に投資・運営コストがかさんだ場合や、自治体が料金徴収を怠るなど、経営努力の不足に伴う赤字は、控除を認めない考えというが、そんなことがうまくいくのか。
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総務省が全自治体に通知

 日経サイトが11月4日に掲出した「自治体の財務諸表、簡易版を作成・総務省が通知」の記事は、総務省の「新地方公会計制度実務研究会」(座長・跡田直澄慶大教授)が財務諸表を作成する際の指針を作成したことを受けて、総務省が全自治体に、簡易な貸借対照表などを作成し、公開するよう求める通知を出したことについて、総務省が地方自治体の財政状況を示す公会計を改革する一環として、簡易な財務諸表を作成するための新指針をまとめたと伝えている。記事によると、住民らが簡単に財務状況を把握できるようにするのが目的で、新指針を基準に、自治体に簡易版財務諸表の作成・公開を促すとし、さらに、北海道夕張市の財政破綻などを受け、住民らが自治体財政を監視しやすくして、破綻や財政悪化を未然に防ぐ狙いもあるとも伝えている。

公表資料:公会計の整備推進について(通知)
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公会計制度改革の解説記事

 「ITPro」サイトが11月1日に掲出した「公会計制度改革 とは」〔岡野 高広(日立総合計画研究所 社会・生活グループ 研究員)〕は、公会計制度改革についてコンパクトに解説している。
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