公会計制度改革の解説記事
「ITPro」サイトが11月1日に掲出した「公会計制度改革 とは」〔岡野 高広(日立総合計画研究所 社会・生活グループ 研究員)〕は、公会計制度改革についてコンパクトに解説している。
平成18年4月、都は、従来の官庁会計に複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた新たな公会計制度を導入しました。
この度、この新公会計制度による初の財務諸表(平成18年度決算)を作成しましたので、お知らせします。複式簿記・発生主義による本格的な財務諸表は、日本の行政として初のものとなります。
- 連結財務諸表作成の効果はあったのか。
- バランスシートでは負債総額がわかったことが一番のメリット。特に外郭団体や公社関係の見えない部分が見えたことではないか。行政コスト計算書は、民間でも行っているような行政サービスを加えると本来行政が行うコストか、という点では疑義がある。個々の企業ごとに経営姿勢がわかればそれでよい程度。
○浜松市から作業の概要と実務的な課題等について報告
<概要>
・浜松市の作業は、まだマニュアルが未整備の段階での作業であったため、整備された状況で作業を始めれば、この報告よりも短い期間で行える作業もあると思われる。ただ、やはり売却可能資産の評価に最も時間がかかった。
・ 今後、浜松市としては、バランスシートを作成するだけでなく、どういう風に活用していくかも検討しながら、作成に取り組んでいきたいと考えている。
<実務的な課題等>
・ 連結ベースの4表は、マニュアルが未整備な現状では、市の職員では作成が出来なかった。手探りでの作成は難しい。
・ 浜松市においては会計の数が32あり、各4表で128。これは別の団体においてもあまり変わらない事柄だと思うが、これらの連結を手作業で行うのは大変な作業。
・ 既存の財務諸表からの読替は素人には困難。
・ 作成担当者から、整備することの意味を理解できないとの声もあり、活用する方法を示すことも必要。
・ かなりの作業量であり、財政課担当者だけでは困難。各担当課に作成してもらうための研修等も必要か。
オーストラリアは、これまで公会計改革のアプローチとして「セクター・ニュートラル」を採用し、公的セクター特有の事象を除いては、原則として公的セクター・民間セクター(営利企業)に同一の会計基準を適用してきた。しかし、公的セクターの性質が民間セクターと根本的に異なること、財務情報の利用者が民間セクターとは異なることから、現在、セクター・ニュートラルのアプローチを再検討するプロジェクトが進められている。