公会計制度改革の解説記事
「ITPro」サイトが11月1日に掲出した「公会計制度改革 とは」〔岡野 高広(日立総合計画研究所 社会・生活グループ 研究員)〕は、公会計制度改革についてコンパクトに解説している。
記事は、「公会計制度節度改革とは、現金主義・単式簿記を特徴とする現在の地方自治体の会計制度に対して、発生主義・複式簿記などの企業会計手法を導入しようとする取り組みのこと」とし、従来の会計制度では、自治体の総合的な財務状況が把握しづらく、予算審議など内部管理への利用が困難、住民にとって分かりにくいという課題があったため、(1)資産や債務の管理、(2)費用の管理、(3)財務情報の分かりやすい開示、(4)行政評価・予算編成・決算分析との関係付け、(5)議会における予算や決算審議での利用、という目的で自治体の公会計制度の改革が進められてきていると説いている。記事は、「総務省は地方自治体に対して、企業会計手法を全面的に採用した「基準モデル」と、既存の決算統計情報が活用可能な「総務省方式改訂モデル」の二種類の会計制度を提案し」、「そのどちらか一方のモデルを選んで連結ベースで(1)貸借対照表(B/S)、(2)行政コスト計算書(P/L)、(3)資金収支計算書(C/F)、(4)純資産変動計算書(NWM)の4表を整備することを求めている」と伝え、新地方公会計制度実務研究会の活動について、「岡山県倉敷市で基準モデル、静岡県浜松市で総務省方式改訂モデルについて、表示科目の選定や作成手法の検討を行い、その結果を反映させた作成マニュアルが報告書として2007年10月17日に発表されました」とし、「基準モデルは、固定資産台帳の整備および発生主義、複式簿記の採用により、個々の取引伝票までさかのぼった検証が可能」であり、「一方、総務省方式改訂モデルでは、個々の複式記帳によらず、既存の決算統計情報を活用するため、固定資産の算定評価額が精密とは言えません。また、初年度の作成時の負荷は比較的軽微ですが、継続作成時には段階的な固定資産台帳の整備に伴う負荷があります。」とし、実質的に基準モデルの採用を慫慂している。また、両モデル以外にも、「東京都や岐阜県などの先進的な自治体が独自に制定した公会計制度も存在」することにも触れ、東京都の公会計制度の特徴としては、「(1)税収を純資産変動計算書に財源の調達として計上する基準モデルに対して、東京都では行政コスト計算書に収入として計上している、(2)貸借対照表の固定資産において、公正価値を基準として定期的な評価を行う基準モデルに対して、東京都では取得原価を基準に計上している、の2点」を挙げている。
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