公会計制度見直しの動向

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公会計改革の目的は行財政改革のツール?

 ITProサイトに6月1日に掲出されている「地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革 第2回 公会計改革の必要性とこれまでの取り組み」〔鵜川 正樹=監査法人ナカチ 公認会計士〕は、現在の官庁会計では、地方自治体の財務業績を民間企業レベルで把握することは困難であると説き、いわゆる公会計改革を解説している。記事は、多くの自治体は、「総務省方式」のモデルにより官庁会計を組み替えて財務書類を作成しているが、現状では、そのルール(会計基準)が複数存在しているほか、財産台帳が未整備であるために財務書類の信頼性や比較可能性に課題があるとしている。記事はまず、政府・自治体会計への複式簿記・発生主義会計の導入は、多くの先進国では広くいきわたっているが、日本国内では、単式簿記・現金主義会計を義務付けた会計法や地方自治法に基づく現行法制度などが支障となり、いまだ本格導入への道のりは遠い状況にあるとし、(1) 英国、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、資源管理の効率性を目的として、予算、決算および財務報告に発生主義会計を導入し、財政規律、業績評価、マネジメント改革のツールとして活用しており、(2) 米国では、議会による民主的な統制を重視して、予算は現金主義のままで、決算と財務報告に発生主義会計を導入しており、(3) 欧州大陸では、フランスが国際公会計基準を導入して、予算制度改革、公会計制度改革、業績評価による行政管理改革を一体的に進めている、と伝えている〔その効果について否定的な見解もあるわけだが。〕。そして、日本国内の地方自治体では、2000年度(平成12年度)に総務省が「総務省方式」のバランスシートの作成マニュアルを公表してから、多くの自治体が決算統計をベースにした貸借対照表と行政コスト計算書(企業会計の損益計算書に相当)の2表を作成するようになったとし、総務省は、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進」のため、貸借対照表などの財務書類の整備に関して情報の提供と助言を行っていて、地方公共団体に対しては、2009年度(平成21年度)中に「新地方公会計モデル(基準モデル及び総務省方式改訂モデル)を用いた連結財務書類(平成20年度版財務書類)の作成を要請していると伝えている。そして、総務省の新地方公会計モデル(基準モデルおよび改訂モデル)の特徴は、将来的には複式簿記の導入を目指しているが、当面は、決算統計という既存のデータに基づいて容易に財務諸表を作成できることであり、主な目的は、無駄な資産を売却して債務を減らす「資産・債務の改革」であり、ストック情報とコスト情報について自治体間で比較できるようにすることであるとしているが、記事は、基準モデルと改訂モデルの際は言及していない。続いて、記事は、総務省の新地方公会計モデルは、多くの自治体に浸透してきており、ストック情報やコスト情報の必要性が認識されてきているが、この財務諸表は決算統計を組み替えたものであり、固定資産台帳の整備は進んでいない自治体が少なくないため、財務諸表の信頼性や比較可能性には課題があり、財務諸表の活用は十分とは言えない面があるとしており、基準モデルに取り組んでいる努力を評価していない。記事は、財団法人日本生産性本部が実施した「地方自治体の新公会計制度の導入状況及び財政状況に関するアンケート調査」(2009年12月)(PDF)がポイントとしている次の部分を引用した上で、「地方自治体の公会計基準の統一と固定資産の整備が、喫緊の課題であると言える。」と説いている。
1.財務書類の作成モデルが複数存在し、統一されていないため、他団体との比較が難しい(P3)
現在、「総務省方式(10.5%)」「基準モデル(8.3%)」「総務省方式改訂モデル(73.3%)」「独自方式(1.0%)」と複数の財務書類作成モデルが存在している。どのモデルを選択するかについては各自治体の判断によるため、各自治体が公表する財務書類を比較することは難しい状況となっている。
2.6割以上の団体で固定資産台帳が電子化されておらず、約7割の団体で有形固定資産の取得時の金額の情報がない。そのため、資産の正確  な把握ができていない状況である(P13)
加えて、固定資産台帳の整備時期については半数以上が「未定」となっている。現状では半数以上の団体が固定資産台帳を財務書類に使用できる目途さえ立っていない。このように、多くの団体では財務書類を資産債務改革に役立てるのが難しい状況である。資産債務改革という目的から考えれば、まずは固定資産台帳の整備を急ぐ必要がある。
3.有形固定資産の評価方法は、約8割の団体が過去の決算額の積み上げであるため、財務書類の有形固定資産額は実態とは異なっている(P9)
過去の決算額の積み上げに使用するデータ(決算統計)は、昭和44年度以降に作成されており、取得時の有形固定資産の情報しか把握する事ができない。昭和43年度以前の情報、昭和44年度以降の除売却資産や譲渡で取得した資産については把握する事ができない。現状、約8割の団体が決算統計データを使用している。

 そして、「地方公共団体の財政健全化に関する法律」により、すべての自治体が「健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)」と、公営企業会計の「資金不足比率」を公表していることについて、多くの自治体は、こうした健全化判断比率や資金不足比率の基準値を下回ってはいる、とした上で、「将来的に少子高齢化社会を迎えて膨らんでいく財政需要を賄うことができるのかどうか、財政の持続可能性を評価するための情報が必要である」としているが、公会計の整備とは無縁の話であろう。課税水準の選択とそれぞれの課税水準における納税額の予測の話であって、現在も行われていることである。記事は、「また、住民への行政サービスが効率的・効果的に提供されているのかについて、検証できるような情報も欠かせない。財政状況の良しあしやサービスの効率性を測定するモノサシとして、公会計制度の整備は不可欠である。」とも説くが、「検証できるような情報」が公会計制度の整備から生まれるはずもないと思うのだが。記事は、「今後の公債発行では海外投資家の目も意識」する必要があり、「現在、公債は国内の預貯金などで消化されているが、将来的には国内で消化できなくなる可能性がある。その際には、海外投資家や国内機関投資家(年金、保険会社など)、財政・会計分析の専門家から見て、理解できるような財務報告が必要になる。そのためには、国際的な公会計基準に準拠した財務報告が欠かせない。」と説くが、確かに公会計の素人に対しては、企業会計的な財政状況の説明が有効であることは間違いないだろう。ただ、記事が説く「現行の官庁会計には「4つの欠如」」は合点がいかない。「(1)単式簿記による「ストック(Stock)情報」の欠如」と言うが、ストック情報が歳入歳出決算とは別立てになっているだけで「欠如」しているわけではないし、欠如している部分があっても、それは単式簿記のためではない。「(2)現金主義による「コスト(Cost)情報」の欠如」と語っているが、複式簿記が「コスト」情報を示し得るのは、一物二価を処理するための体系であるから、ということを理解していないことから来る錯覚である。公会計にコスト情報を求めるならば、ABC分析をすればいいだけの話だ。「(3)住民への決算要領の公表について、一定のルールがないことによる「アカウンタビリティ(Accountability)」の欠如」としているが、「地方公共団体の財政健全化に関する法律」も「一定のルール」作りに他ならないはず。「(4)予算(Plan)と執行(Do)が重視され、検証・評価(Check)、見直し(Action)が十分に実施されていないことによる「マネジメント(Management)」の欠如」とあるが、これは官庁会計の問題ではなく、むしろ、自治体のガバナビリティの問題であり、これを改善すべく、近年の地方自治体における事業評価や事業仕分けの努力があるとみるべきだろう。そして、記事は、「つまり、新しい公会計制度は、これら4項目が欠如した現行の公会計制度を、補完・改善するものでなければならない。そのためには、以下のような対策が必要である。」として、
(1)ストック情報の欠如への対策として、貸借対照表を作成する。また、全体の財政状況をつかむために、公営企業や外郭団体などを結びつけた「連結貸借対照表」を作成する。

(2)コスト情報の欠如への対策として、行政活動の経済性や効率性を判断する重要な情報となる「行政コスト計算書」を作成する。

(3)アカウンタビリティ(説明責任)の欠如への対策として、広報、インターネットなどにより住民に情報を公開する。また、アニュアルレポート(年次財務報告書)の作成を行う。

(4)マネジメントの欠如への対策として、「政策形成(Plan)−執行(Do)−検証・評価(Check)−見直し(Action)」のマネジメントサイクルを確立する。多くの自治体では行政評価が試みられているが、サービス提供のフルコストを把握して、予算編成や事業見直しにまで活用する必要がある。

と説く。そして、記事は、「こうした官庁会計の問題点を根本的に解決するために、東京都は2006年度(平成18年度)から、「複式簿記・発生主義会計」へ本格的に移行した。」と紹介し、「地方自治体の公会計改革は、「複式簿記・発生主義」の導入が目的なのではなく、公会計改革を行財政改革のツールとして、真に実効性あるものにしていくことを目指すものでなければならない。」と締め括っている。
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NPO(非営利活動)の取り組みや成果を数値化する会計基準

 OurPlanet-TVサイトに4月12日に掲出されていた「ボランティア活動を収益計上!?NPO法人会計基準策定プロジェクト終盤に」〔取材・文 池田佳代〕という記事によると、国内約80のNPO支援団体ほか民間助成団体や趣旨に賛同する個人が参加するNPO法人会計基準協議会が昨年3月、NPO法人会計基準策定プロジェクト〔ブログ〕を開始しているようだ。NPO法が施行されて12年になり、法人登録は約4万となっていて、活動に参加する人も増え、「新しい公共」を掲げる現政権はNPO活動のさらなる発展に期待を寄せているが、会計基準がないことで、寄付をしたい人や助成団体にとっては、会計書類の表記方法がばらばらで比較ができない、資金の使途が分かりにくいという課題があったという。また、会計士や税理士などが支援しにくく、経営判断が正確にできないことから社会的な評価にも結びつけにくかったともいう。そこで、NPO(非営利活動)の取り組みや成果を数値化する会計基準を作り、解決をめざしているということのようだ。ボランティア活動を可視化する基準がほしい、という声に応えて、本文に「財務諸表の注記」を設け、ボランティアなども財務諸表に計上するという。財務諸表は「収支報告書と財産目録」から「活動計算書と貸借対照表」という形式に移行するが、小規模のNPOにも使いこなせるよう実務担当者向けの「ガイドライン」を作成するとのこと。財産目録は付属書類という位置づけだというが、財産が現金と預金のみ、というNPOが大半だという現状を反映していると記事は伝えているが、意味不明。財産目録には資産しか計上されないのか??また、年度をまたいだ事業の処理も規定し、助成金や補助金などの決算期とのずれにも対応している点も、管理会計に不慣れな体制が多いNPOには朗報といえそうだと記事には書かれている。参加者との意見交換の場面で、同協議会の加藤俊也事務局長(公認会計士)は、「公益的なサービスの実施がNPOの目的だとしたら、ボランティア活動に関する労賃も計上したほうがよいだろう(現金は発生しない)。手間暇かかるが、それによって活動の規模が正しく表せると考えられる団体は、それを導入したらいいと思う」と述べており、これに関連して、同協議会策定委員の大久保朝江氏(杜の伝言板ゆるる代表理事)は、「活動を数値化することは、安い労働力として委託事業が降ってくるような状況への対策にも有効では」と加えたとか。同協議会によると、市民に活動の価値への理解を深めるための書類の一つであり、公官庁の求める様式に沿った書類作成とは別の意味合いのもので、そのため、所轄庁や税務署などに提出する書類に変更が生じるものではないとの由。また、これら会計基準に準拠した会計ソフトも検討しており、社会全体からNPOへの寄付を増やして活動をより充実させるために、みんなで「NPO法人向会計基準」に参加することを目標にしていきたい、と述べていると記事は伝えている。
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公営企業会計にキャッシュフロー計算書

 21年4月に全面施行された地方財政健全化法では、自治体に公営企業や第三セクターなどを含めた連結での財政状況を把握させ、一体的な財政再建を促しているが、日経電子版が4月7日に掲出した「総務省、公営企業にキャッシュフロー計算書を義務化」によると、総務省が今秋にも地方公営企業法関連の政省令を改正し、病院や水道、鉄道などの公営企業に対してキャッシュフロー(現金収支)計算書の作成を義務付けるという。上場企業に近い会計基準を適用して、収益や資産に加え資金繰りの状況も明らかにし経営改善につなげると記事は解説している。記事は、キャッシュフロー計算書について、営業や投資、財務に絡んだ現金の出入りを詳細に示したもので、債務の返済能力など経営の健全性を見極める主要財務諸表の一つとして活用されているとし、人口減少などで財務内容が悪化している地方の公営企業は多く、現金収支の開示で厳しい経営の実態が浮き彫りになる可能性もあるとしているが、現金収支の開示の話ではなく損益計算書と組み合わせての話だと思う。新たな書類作成に伴う人員や設備などの負担を考慮して適用は25年4月からで、公営企業が資金繰りの概要を示すため作成している現行の「資金計画書」は廃止する予定という。
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独立法人会計基準の改定

 総務省サイトは3月30日に「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂」と題して次のように公表している。

  • 独立行政法人の会計については、原則として企業会計原則による(独立行政法人通則法第37条)こととされており、公共的な性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としないなどの独立行政法人の特殊性を考慮して、独立行政法人会計基準が定められています。

  • 企業会計においては、現在、企業会計基準と国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスに向けた取組みの一環として、企業会計基準等の改正・設定が相次いで行われており、平成21年度以降に適用となる改正や新たに適用される基準が存在します。これら新たな企業会計基準の適用に対応するため、総務省が開催している「独立行政法人会計基準研究会」と、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」とで連携し、両者の共同ワーキング・チームにおいて、具体的な検討を行ってきました。

  • 今般、「独立行政法人会計基準研究会」(3月30日開催)及び「財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会」(3月30日開催)において、それぞれ共同ワーキング・チームからの報告を受け、『報告書「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂について』が了承されましたので、別添(「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」)のとおり、公表するものです。
    (なお、本件については、財務省においても同時に公表しております。)

  • なお、「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂にあたっては、共同ワーキング・チーム(計3回開催)における取りまとめを受けて、本年3月19日から26日までの期間、改訂案を公表し意見募集を行ったところ、会計処理に関する技術的な意見(1件)の提出がありました。

  • 添付資料
    改訂の新旧対照表(PDF)


 総務省サイトは「財務省においても同時に公表しております」としているが、同日に財務省サイトで公表されているのは「財政制度等審議会 法制・公会計部会(3月30日開催)配付資料」であり、同文ではあるかもしれないが「案」としてであり、「公表」とまでは言い難い。
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桜内氏が参議院議員へ

 毎日jp愛媛ページに3月23日地方版として掲出されていた記事「選挙:参院選 比例代表に桜内氏 みんなの党公認候補で /愛媛」〔柳楽未来〕によると、今夏の参院選に元財務省課長補佐の新人、桜内文城氏(44)〔宇和島市出身で東大法学部卒。昭和63年に旧大蔵省に入省し、平成19年9月に退職して新潟大准教授も務めた。〕が22日、みんなの党の比例代表の公認候補として立候補することを表明したという。同日、宇和島市祝森の事務所で同党の渡辺喜美代表と記者会見した桜内氏は「南予地域を起点として、松山などに活動を広げていきたい」と語ったと記事は伝えている。記事によると、桜内氏は昨年8月の衆院選で愛媛4区から、同党の推薦を受けて無所属で立候補し、落選した経緯があるという。桜内氏は「デフレ脱却のために成長戦略をきちんと訴えているのはみんなの党だけだ」と同党の公認候補として出馬した理由を説明したと記事は伝えている。
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公会計についての国会質疑

 平成22年1月21日の衆議院予算委員会で、就任して間がない財務大臣を相手に公会計について質疑が行われた。
 論点は二つ。
 一つは、国会提出が遅れているということ。質問者は2年遅れといっている。
 もう一つは、公的年金債務の過小評価。
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20年度国の財務書類が国会へ提出された

 財務省サイトは1月26日に「平成20年度「一般会計財務書類」及び「特別会計財務書類」の公表」を掲出し、併せて、そのリンク先として

を掲出した。
 また、財務省分として特別会計に関する情報開示(平成20年度特別会計財務書類に関する情報)平成20年度一般会計省庁別財務書類(財務省分)の公表も掲出している。

 また、会計検査院サイトは「平成20年度特別会計財務書類の検査の結果」について(平成22年1月26日)として
 会計検査院は、平成20年度特別会計財務書類の検査を行ったので、平成21年12月24日に、その旨を内閣に通知し、同書類を回付しました。
 検査の結果は、次のとおりです。
 平成20年度特別会計財務書類の検査の結果(PDF 27KB)
と掲出している

 これについて、読売新聞サイトは「国の債務超過 初の300兆円超え 08年度」との記事で
 財務省は26日、2008年度末時点での国の資産と負債の状況を発表した。民間企業の会計ルールに沿ってまとめたもので、一般会計と特別会計の合計は「負債」が「資産」を約317・4兆円上回る債務超過となり、07年度末から約34・5兆円悪化した。国の債務超過が拡大したのは2年連続で、超過額が300兆円を超えたのは初めてだ。

などと報じている。

公表資料:平成20年度 国の財務書類
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元総務相は全市町村に財務書類の作成を求めた

 日経サイトに10月2日に掲出されていた「「全市町村が財務書類作成を」 公会計シンポで増田元総務相」という記事によると、日本経済新聞社が2日に都内で開いた「公会計改革会議2009」と題したシンポジウムでは、「本番スタート公会計改革 作成から活用の時代へ」をテーマに、バランスシートなど財務書類の活用法や課題を議論したという。基調講演では増田寛也・野村総合研究所顧問(元総務相)が「八ツ場ダムなどの政策(変更)をいかに国民に説明するか。公会計はそのためのインフラだ」と指摘し、財務書類の作成に「100%の市町村が取り組むようにしなければいけない」との認識を示したと伝えている。パネル討論では西川太一郎・荒川区長が公会計改革の効用として、「地域の人も資産を大事に使おうという意識が高まった」と発言し、山本清・東京大学大学院教授は公会計の考え方を「予算策定にも取り入れてほしい」と述べたという。江夏あかね・シティグループ証券シニアクレジットアナリストは「(会計)モデルが複数あると比較しにくい。データベースも整備してほしい」と注文を付けたと記事は伝えている。
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「国の財務書類」の公表を7か月前倒し

 日経が8月9日に掲出している「「国の財務書類」公表時期前倒し 11年度決算から財務省」との記事が、財務省が平成23年度決算から、国の財務状況を企業会計に準じた方式でまとめる「国の財務書類」の公表時期を前倒しすると報じている。現行制度では決算年度の翌々年度の8月に公表しているが、翌年度の1月へ7カ月前倒しするという。例年1月に開会する通常国会に間に合わせて、予算審議などに活用できる環境を整えると記事は伝えている。記事は、国の財務書類は一般会計と特別会計を合わせた国全体のお金の流れと、資産や負債の残高を、民間企業を見るのと同じ感覚で一覧できるようにするのが狙いで、独立行政法人や特殊会社などを含めた連結ベースのデータも把握できると解説している。

 財務書類について的確な解説と言えるだろう。ちなみに、19年度分はここにある。
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19年度国の財務書類

 日経サイトが7月24日に掲出している記事「国の債務超過、07年度は282兆円超」は、財務省が24日に19年度の国の資産と負債の状況を示した貸借対照表を公表したこと、一般会計と特別会計を合算したところ、負債が資産を上回る「債務超過額」が282兆9千億円となり、18年度と比べ3兆8千億円増えたこと、貸付金など資産が目減りするとともに、国債の発行残高が増えたことなどが響いていることを伝えている。19年度の資産は前年度に比べて9兆6千億円少ない694兆9千億円で、保有外貨証券が増えたものの、財政投融資改革で財務省が政策金融機関などに貸し付ける額は27兆円減っているという。負債は5兆8千億円減の977兆8千億円で、政府にとって借金となる新規国債と政府短期証券の残高が合わせて31兆8千億円膨らんだが、郵便貯金などの預託金が大きく減ったため、差し引きで総額は減っているという。

財務省サイト:19年度国の財務書類
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