公会計制度見直しの動向

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公会計の企業会計導入は3割程度で反応あり

 東洋経済サイトの「15.0%――固定資産台帳の整備が完了している地方自治体の比率《気になる数字」〔データ事業局「気になる数字」調査班 =週刊東洋経済2012年7月28日号〕という記事(12/08/09 | 12:00)によると、総務省は18年から、全国の地方自治体に新たな公会計制度の導入を求めてきたが、道路や橋などの固定資産台帳の整備が完了している地方自治体は、いまだ15.0%にとどまっており、台帳整備の完了時期が未定の自治体も60.4%に上っているという。23年11〜12月、日本生産性本部が全国の都道府県、市区町を対象に実施した調査でわかったもので、これについて記事は、地方新公会計制度の趣旨は、これまでの決算統計的な自治体会計に、企業会計的な決算手法を導入すること。固定資産台帳の整備によって、資産や負債の情報を金額で管理することが求められているが、その取り組みは一向に進んでいないようだと解説する。今のままでは、1980〜90年代に大量に整備された社会資本の状況が正確に把握できず、その計画的な更新に支障を来すことが懸念されると記事は説くが、別に道路台帳と橋梁台帳はあるわけだから無用の懸念だろう。また、財務諸表を公表しても、住民や議員から「特に反応がなかった」とする自治体は70.9%にも上っており、一方、財務諸表を作成している自治体のうち11.6%は公表さえしておらず、83.7%の自治体は財務書類についての監査を実施していないとして、利用する側の無関心さが目立つと同時に、自治体側の意識もまだ低いとするが、もともと公会計に企業会計を導入する意味は投資家対応しかないのだから、当然と言えば当然のこと。企業的な概念を導入することで自治体経営の効率化を目指した新公会計制度だが、それを達成するには、自治体側、利用者側ともに、インセンティブをどう利かすかが課題となっているようだと記事は説くが、マスメディアが勘違いに気付けば、それで十分と思う。
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アメリカでは自治体が倒産する

 公会計の破綻について複式簿記の導入がないから、という議論があるが、アメリカでは自治体が普通に倒産するようだ。
 ロイターが7月12日に掲出していた「米カリフォルニア州で自治体破綻、先月以降3件目」〔サンフランシスコ 11日 ロイター〕によると、米カリフォルニア州サンバーナーディーノ市(人口21万人)議会は10日遅く、市が連邦破産法9条の適用を申請することを決定したという。カリフォルニア州では先月以降、ストックトン市(人口約30万人)、マンモスレイクス町(人口約8000人)が相次いで破産法の適用を申請しており、自治体の破綻はこれで3件目と記事は伝えている。サンバーナーディーノ市の破綻は事前に予想されておらず、同市検事は前日、財務報告が長年にわたって偽造されていた可能性があると指摘していたが、この日は「意図的な犯罪行為があったかは不明」と発言し、同市市長は「財務分析がずさん」だった可能性があるとの見解を示したとか。同市では住宅バブル崩壊で収入が急減しており、市場ではカリフォルニア州で今後も自治体破綻が相次ぐのではないかとの懸念が浮上しているとのこと。
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佐野市は合併一新のために基準モデルを選択

 下野新聞サイトが5月6日に「市有財産情報を電子化 佐野市が資産管理システム運用」〔佐野〕という記事を掲出している。この記事によると、市有財産の適正な維持管理に役立てようと、佐野市は資産情報をデータで一元化する「資産管理システム」の運用を始めたという。従来は土地と建物の数量・取得価格のみを紙台帳で管理していたが、工作物や備品を含むほぼ全財産を一括して電子化し、時価に相当する「公正価値」も網羅しているとのこと。市は25年度から、県内自治体で初めて新地方公会計制度の「基準モデル」に対応した財務諸表の作成を始める予定で、その下準備が整った格好ときじは伝えている。市によると、21年度〜23年度のシステム整備に充てた総事業費は約7100万円で、国の緊急雇用創出事業を活用してデータの収集や整理などを進め、システム上で資産情報(評価額や耐用年数、減価償却費、維持管理費など)を一元的に把握できるようにしたという。システム化は公会計改革の一環で行われたもので、導入に向けて国は18年、?基準モデル、?総務省方式改訂モデルを示しているが、市では「資産状況を的確に把握できる」として、すべての財産を公正価値で評価する?を選択したとの由。市の担当者は「1市2町の合併で重複状態にある財産もあり、スリム化に向け精査が不可欠と判断した」と選択理由を説明しており、今後は財産の売却も積極的に行う方針とか。
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公営企業会計基準について政令を閣議決定

 時事ドットコムが1月24日に掲出した「公営企業会計で新基準=財務実態、民間並みに明確化−政府」によると、政府は24日の閣議で、地方自治体が運営する病院や地下鉄など公営企業について、26年度決算から民間企業並みの新たな会計基準を導入するための政令を決定したという。公営企業の財務実態を明確にし、経営健全化につなげるのが狙いで、自治体は2月から、会計システム改修など新基準移行に向けた作業に着手すると記事は伝えている。公営企業の会計基準を抜本的に見直すのは、昭和41年以来だという。新基準では、これまで貸借対照表の「資本」として扱ってきた自治体の一般会計からの借入金を「負債」に計上するなど、財務内容をより実態に即して表示すると記事は伝えるが、あたかも、これまで実態に即していないかのようだ。単に、民間基準とずれていただけと言うことなのに。

公表資料:「地方公営企業会計制度の見直しについて(案)」(平成23年10月 総務省自治財政局公営企業課)
     地方公営企業会計制度の見直しに関する説明会
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大仙市がインセンティヴ予算

 iJAMPに1月12日に掲出された「インセンティブ予算制度を導入=秋田県大仙市」によると、大仙市が、24年度当初予算編成に「インセンティブ予算制度」を試行的に導入するという。23年度予算執行について、市民サービスを低下させることなく、職員の創意工夫で歳出削減や新たな収入確保ができた場合、24年度当初予算編成で部局に余剰額の一部、または全部を追加配分するというもので、インセンティブ(奨励金)を付けることで業務のマンネリ化を防ぎ、職員のコスト意識を高めるのが狙いと記事は伝える。また、奨励金を別の事業に転用することにより、市民サービス向上につながる効果も期待しているとのこと。同市では、26年度に合併特例期間が終了し、普通交付税の合併算定替の適用額が27年度から減少することになっていて、23年度の適用額は約44億円だが、32年度にはゼロになる見通しで、市民サービスの質を維持しつつ、コストを見直すため、同制度を導入することにしたという。インセンティブの付与については、市民サービスを低下させずに各部局の創意工夫で財源を節約したり、収入を生み出したりすることが条件で、財政課によれば、例えば、業務発注方法の変更でコスト削減や、市民協働で人件費の削減などが考えられるということのようだ。今回は試行的に導入して問題点などを検証し、13年度当初予算編成から本格実施したい構えで、同課は「職員にコスト削減の意識を持ってほしい」としているという。
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東京都が4自治体と協議機関

 東京新聞が23年12月8日に掲出した「都議会代表質問 「新公会計制度」普及へ連携 石原知事 4自治体と協議機関」によると、7日に開催された都議会第4回定例会で、石原慎太郎知事が、都が全国の自治体に先駆け複式簿記や発生主義会計を採用した新公会計制度を普及させるため、年内に大阪府など4自治体と協議機関を設置する考えを示したという。都は行政のコスト意識を高めるため、18年度から民間企業と同じ会計制度を採用しており、都が無償でノウハウを提供し、大阪府や町田市も追随したほか、愛知、新潟両県も本格導入を表明しているという。都はこれら4自治体の財政、会計担当トップをメンバーにした協議機関を年内に設置するというもので、石原知事は「志を同じくする自治体と緊密に連携し、日本の公会計制度改革を全力で牽引(けんいん)する」と意気込みを述べたと記事は伝えている。
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減価償却の考え方の導入で物品記帳を厳格に行う

 苫小牧民報社サイトに10月7日に掲出されていた「苫小牧市が重要物品所在不明問題で事務処理規程整備へ」によると、苫小牧市は、今年3月に明らかになった市の重要物品(50万円以上)の所在不明問題を受け、年度内に事務処理規程を整備するが、その背景として、市が22年度決算から、財産に減価償却の考え方を取り入れていくため、物品の徹底した管理がこれまで以上に必要ということがあるという。問題の発端は、監査委員の指摘を受けて市が調査し、129点が不明になっていることが分かったことで、市は、台帳が未整備な部署があるなど、物品の購入、廃棄時のチェックがずさんだったことが原因と分析しているとのこと。
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東京都が22年度財務報告書を発表

 東京都サイトは報道発表資料として9月16日に「平成22年度「東京都年次財務報告書」の作成について」を掲出している。
 発表文は次のように述べている。
 複式簿記・発生主義会計による平成22年度普通会計決算がまとまりました。この新たな公会計制度により作成された財務諸表を用いて、都全体の財務の実態をマクロ的な視点から分析した「東京都年次財務報告書」を作成したのでお知らせいたします。
 なお、本報告書は、民間企業でいえば、会社の経営状況を株主や投資家に報告する「アニュアル・レポート」に相当するものであり、これまでの官庁会計と合わせて、より多面的に都の財政状況を示すものとなります。
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新潟県が20年度決算財務諸表を公表

 毎日jp新潟ページは8月20日地方版として「県:08年度、純資産は1兆4434億円−−新会計制度 /新潟」〔小林多美子〕という記事を掲出している。記事は、泉田裕彦知事が19日、県の負債総額や資産価値などを明示した貸借対照表などで財政状況を透明化させる「新地方公会計制度」による20年度決算の財務諸表を発表し、それによると、県の資産は約4兆4692億円、負債は約3兆257億円。資産から負債をひいた純資産は約1兆4434億円となると報じている。そして解説として、地方自治体の公会計制度改革は全国的に行われており、県は23年度決算からの本格導入を予定しており、今後21、22の両年度決算も順次公表していくとしている。以下、記事で掲載されているのは次のとおり。

  • 貸借対照表によると、県の資産のうち、最も多いのが道路や橋などのインフラ資産で3兆4023億円。行政庁舎や学校など公有財産が3426億円、投資や基金・積立金などが6337億円

  • 負債は、1年以内に償還を予定している短期公債が2301億円、長期公債が2兆4802億円など



公式発表:新潟県の新地方公会計制度による財務諸表について(平成20年度決算ベース)
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経済財政白書には地方も含んだ国民経済計算ベースのバランスシートがあるようだ

 ZAKZAK「連載:2011「日本」の解き方」に7月28日に掲出されている「財務省したたか工作!国のバランスシート作りのウラ」〔元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一〕は、22日の閣議に提出された経済財政白書で、国と地方を合わせた政府全体のバランスシートが10年ぶりに作成されており、11年度末で資産887兆円、負債1062兆円、資産負債差額175兆円だったのが、21年度末で資産986兆円、負債1505兆円、差額519兆円となっていて、財政状況を表す資産負債差額は悪化しており、その原因は年金の状況であるとしているとした上でコメントを加えている。それによると、15年ほど前に国のバランスシートを公会計に基づき初めて作ったのは筆者自身であること、当時、GDPの計算で使う「国民経済計算」はあったが、推計データなので様々な政策分析には使えず、会計帳簿から個別の資産・負債を悉皆的に調べて公会計の手順でのバランスシートを作ったということが明かされている。会計帳簿から作成したという文脈上、これはいわゆる中央政府に限定した「国の財務書類」のことかと思われる。筆者は、「今回のバランスシートが、公会計ベースのものかと思ったら、国民経済計算ベースなのでがっかりした」というが、地方込みのものは公会計ベースでは未だ無理なのではないだろうか。
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