公会計制度見直しの動向

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16年度省庁別財務書類が公表された

 4月1日付け日本経済新聞朝刊5面の「省庁別2004年度財務諸表、農水省を除き「債務超過」に」は、財務省が31日に発表した16年度の省庁別財務諸表によると、農林水産省を除く全省庁が負債と国債残高の合計が資産を上回る「債務超過」となったと報じている。内閣府と文部科学省を除く各省は前年度に比べて財務内容が悪化したとのこと。この計算は、各省庁の一般会計の資産に応じて国債を割り振ったもので、農水省は国有林野を特別会計で持っていて、国債の配分が少ないとか。

公表資料:各省庁において公表されている「平成16年度省庁別財務書類」 について
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自治体の連結財務諸表の統一基準を策定する方向

 日経が3月24日に配信した「全都道府県が連結バランスシート公開へ――3セク・公益法人も対象」は、全国47都道府県と14政令指定都市の連結貸借対照表(バランスシート)が今月末までに出そろうと報じる。22日までに27都府県と十政令市が作成済みで、残りの自治体も月末までにホームページなどで公表する見通しという。従来は連結していなかった公益法人や三セクについて、自治体が50%以上を出資する病院などの公益法人や株式会社の会計を連結して作成する模様。記事は、総務省は都道府県と政令市の連結バランスシートが集まった段階で統一基準を設ける予定で、外部の監査法人による監査の必要性などについても検討すると伝える。これは、経営破綻の懸念がある3セクの資産・負債の評価方法など自治体が独自に算定した部分もあるためとか。
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財務省が省庁別財務書類を見直す方針とか

 日経金融新聞は3月9日紙面の10面で「財務省、政策・事業の評価容易に、省庁別財務諸表を見直し」を報じる。内容は、財務省が、一般会計と特別会計、特殊法人などの財務状況を合計し、所管省庁ごとにまとめた「省庁別財務諸表」の作成基準を見直す方針だ、というもの。記事によると、事業ごとに予算の使い残し額などが分かるように、20年度決算から事業・政策単位ごとに金額を示し、政策の費用対効果を明確にするという。記事はさらに次のように説く。
 現行の決算書は「給与・手当」などの項目の金額は記載されているが、事業・政策ごとにいくら使ったのかは明記していない。このため、政策が適正なものなのか判断しづらかった。改定により厳格な政策評価ができるようにして予算執行の効率を高める。

 そして、同省が16年に初めて一般会計と特別会計を合わせた14年度決算分の省庁別財務諸表をまとめたこと、15年度決算からは特殊法人や独立行政法人も含めた連結財務諸表を作成し、国の財務諸表の作成基準の大枠を決めたことを伝え、「作成基準見直しで内容は充実する」と説く。

 記事の対象を十分に理解したうえでの記事か疑問が残る。ある政策ごとの直接経費は現在の決算書類でも分かるものは多いわけで、課題となっているのは、人件費等の割り掛けの問題。ましてや、改めたところで、「政策が適正なものか」が分かるはずもない。
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発生主義は民主的統制を弱体化させる

 2月15日の参議院決算委員会で、特別会計の現状と課題について参考人からの意見聴取が行われた。公会計に発生主義を導入すべきとする参考人に対して、小池正勝委員(自民)が、「公会計を現金主義から発生主義へ移行すると議会の財政統制は弱まるのではないか」という質問を行ったが、参考人からは、政府のすべての取引、意思決定を会計的に処理するのだから予算統制が弱まることはないという説明が行われた。
 企業会計においてもキャッシュフロー計算書を重視してきつつあるのは、まさに統制を強化するためであり、その文脈からも公会計に対して発生主義を導入することは公会計に対する民主的統制の弱体化に繋がるのではないか、という議論は重要な論点に思える。しかし、参考人の説明は説得力があるとは思えない。
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行政改革の重要方針にも公会計改革が盛り込まれた

 17年12月24日に閣議決定された「行政改革の重要方針」に、予算書類の改善〔特別会計の歳入・歳出につき、所管別区分と主要経費別区分を行うとともに、予算の一覧性を確保するため、純計額ベースで表示した所管別や主要経費別の予算参考資料を法定資料としての予算参考書類に含める〕や、公会計改革の推進〔国及び地方公共団体の資産・債務の管理等に必要な公会計の整備については、企業会計の考え方を活用した財務書類の作成基準等の必要な見直しを行うなど、一層の推進を図る〕を述べたくだりがある。
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東京都は18年度から様々なレベルの財務諸表を作成

 東京都は12月20日に「東京都の機能するバランスシート(平成16年度決算版)について」を発表。
 その発表文で次のように付け加えている。
 なお、東京都では、平成18 年度に複式簿記・発生主義会計を日常の会計処理の段階から導入します。導入後は、より精度の高い財務諸表を、より迅速に公表することが可能になります。また、都全体だけでなく、局別、事業別などの様々なレベルの財務諸表の作成が可能になりますので、説明責任の向上やマネジメントに、積極的に活用していきます。
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特別会計について通則法を設ける動き

 共同は12月12日に「基準統一を法制化へ 自民、特会の透明性狙い=差替」を配信。
 記事は、自民党が、非効率的で無駄な支出が多いとの批判が強い特別会計の見直しに向け、現在31ある特会ごとに異なっている会計処理や情報開示基準の統一を法制化する方針を固めたと報じる。会計のずさんさや不十分な情報開示が指摘される特会制度に同じ基準を設けることで、透明性を高めて国会などによるチェック態勢を強化するのが狙いとのこと。自民党の中川秀直政調会長は同日夜、大阪市内での講演で「特会は統廃合や民営化、独立行政法人化などで3分の1くらいに減らせるのではないか」と指摘し、「会計や情報開示の基準がバラバラで全体の財務分析もできない」として、年明けの通常国会に政府が提出する予定の「改革推進法案」に基準統一を盛り込む方針を明らかにしたと記事は伝える。同時に、特会の透明性をさらに高める狙いから、同法案に特会の厳格な設置基準と見直し条項も入れる考えも示したとか。
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モデル事業の成果は?

 時事は11月16日に「モデル事業、事後評価機能せず=ずさんさ浮き彫りに−総務省」を配信。
 記事は、国の予算執行の効率化を目指して16年度から導入された「モデル事業」について、目玉だった政策の実現状況を厳しくチェックするはずの事後評価そのものが、ほとんど機能していないことが総務省の調査で分かったと報じる。事業を行った7省庁すべてで、予算の節減効果や、評価に当たって政策目標の達成度を第三者が客観的に検証できる基準を示していなかったとのこと。導入当初から事後評価の基準が各省任せで、評価の枠組みづくりが課題との指摘があり、国民への説明責任向上をうたい文句に始まったが、そのずさんさが裏付けられた形で、同事業の在り方が問われそうと記事は伝える。

公表資料:モデル事業に係る政策評価の審査結果(要旨(PDF)・本文(PDF))
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国有財産制度の抜本改革

 10月25日付け日本経済新聞朝刊5面に「財務省検討、国有財産法を抜本改正――有効活用へ会計透明化」の記事。
 記事は、財務省が国有地などの国有財産を有効活用するため、関連法制を抜本的に見直す方針と報じる。国有財産法や庁舎法が対象で、民間企業が庁舎を長期間賃貸できるように定期借地権をつけたり、会計処理を透明にするため資産評価を民間基準とそろえたりするのが柱とのこと。財政制度等審議会で具体策を協議し、来年の通常国会をメドに改正法案を提出すると記事は伝える。財務省は25日に開く財制審の国有財産分科会(部会長・宮原賢次住友商事会長)で協議し、こうした考えを盛り込んだ中間答申をまとめるとのこと。国有財産は耐震基準を満たしていない老朽庁舎も多く、また庁舎の民間貸し付けを事実上禁じていて、資産が有効活用されていないとの批判が多かったとか。同分科会の中間答申では、庁舎の空きスペースを調べ、民間に貸し付けたり、逆に民間などから施設を借りて庁舎を1カ所に集約したり、効率的な活用策を提言するとのこと。また、従来国の保有資産は簿価で評価されており、現在時点での価格と乖離(かいり)している懸念があるため、資産の評価方法を見直すとか。財務省は民間活力を引き出すため、国が抱えたままの資産を民間にできるだけ開放する考えだが、国が使いこなせない資産の価値は低いとの見方もあり、財務省の狙い通りに効果を上げるか懸念する向きもあると記事は評する。
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鳥取県が事業費に人件費をオンした予算を編成する方針

 共同は10月17日に「人件費含め事業予算計上 鳥取県が全国初=差替」を配信。
 記事は、鳥取県の片山善博知事が17日の定例会見で、来年度の当初予算編成から事業費に人件費を含めた「トータルコスト予算」を導入することを発表したと報じる。県によると全国初の試みで、民間に発注する公共事業を除く県主催の行事、イベント事業や補助金などの事業と、知事部局の事業が対象で、事業に必要な職員数に平均賃金をかけるなどして人件費を算出し、事業費と合わせて予算に計上するとのこと。片山知事は「これまでは予算に人件費が含まれておらず、コストとサービスの関連が分からなかった。トータルコスト予算にすることで、民間との差などが分かる」としていると記事は伝える。
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