公会計制度見直しの動向

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東京都が新方式を宣伝している

 5月16日付け東京新聞東京版「都の新会計システム 普及へノウハウ伝授」の記事は、15日に都内で開かれた8都県市首脳会議で、石原慎太郎知事がは、4月から国内の自治体で初めて導入した複式簿記などを使った新会計制度を広めるため、各自治体にノウハウを伝授する考えを表明したと報じる。同会議では今後、具体的な効果について検証し、国に対しても普及促進への支援を要望することを確認したとか。自治体の会計は、単年度ごとにお金の出入りだけを記録する「単式簿記」方式がとられているが、これでは負債などの記録が別になり、どれだけ財産と負債を抱えているかという財務内容が的確に把握できないとのこと。都の新会計制度では、資産と負債を一元的に管理する財務諸表をつくり、コスト意識を高める。売却を前提にしない道路、橋などの資産は企業会計にないため、都は独自の資産科目として「インフラ資産」を設けているとか。石原知事は「民間では当然のことが、自治体ではあまりに遅れていた。(都の新会計は)日本のスタンダードになりえる。経営の視点から、本来は国が率先して導入をするべきものだ」と強調したとの由。
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浜松市が検討を開始

 静岡新聞サイトが5月16日に掲出した「企業会計の反映方法課題 浜松市の新公会計」によると、浜松市は15日、同市役所で「新公会計制度研究会」(座長・小西砂千夫関西学院大教授)の初会合を開いたとのこと。自治体の会計に民間企業のコスト・資産・負債管理の手法を導入するのが目的で、県内では先進的な取り組みとのこと。今後は民間の手法をどう公会計に反映し、開示改善を図るかや反映事業の範囲、債務の分析―などが課題となるとか。地方自治法に基づく単式簿記方式の公会計では資産や負債管理に事実上限界があることから、浜松市は行財政改革の観点からもあえて新しいバランスシート(貸借対照表)をつくり、中長期的に持続可能な財政運営に生かす考えで、自治体財政の専門家や監査法人、公認会計士、地元企業スズキの代表からは「市の対照表は肝心な注記が足りないし何を分かってほしいのか明確でない」「行財政用語が市民には分からない」「信頼できる正確な数値なのかこそ問題」など、率直な意見が相次いだとか。小西座長は自治体の借金は地方債のような確定債務だけでなく、退職金にかかる額や第三セクターなどが抱える含み損など未確定債務もあり、このような債務の分析と対照表への反映の重要性も指摘したとのこと。浜松市は次回6月3日の会合で、どの事業にまで複式簿記の考えを導入するかの案や、東京都などの先進的な公会計制度の事例を示す予定とか。
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