公会計制度見直しの動向

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佐野市は合併一新のために基準モデルを選択

 下野新聞サイトが5月6日に「市有財産情報を電子化 佐野市が資産管理システム運用」〔佐野〕という記事を掲出している。この記事によると、市有財産の適正な維持管理に役立てようと、佐野市は資産情報をデータで一元化する「資産管理システム」の運用を始めたという。従来は土地と建物の数量・取得価格のみを紙台帳で管理していたが、工作物や備品を含むほぼ全財産を一括して電子化し、時価に相当する「公正価値」も網羅しているとのこと。市は25年度から、県内自治体で初めて新地方公会計制度の「基準モデル」に対応した財務諸表の作成を始める予定で、その下準備が整った格好ときじは伝えている。市によると、21年度〜23年度のシステム整備に充てた総事業費は約7100万円で、国の緊急雇用創出事業を活用してデータの収集や整理などを進め、システム上で資産情報(評価額や耐用年数、減価償却費、維持管理費など)を一元的に把握できるようにしたという。システム化は公会計改革の一環で行われたもので、導入に向けて国は18年、?基準モデル、?総務省方式改訂モデルを示しているが、市では「資産状況を的確に把握できる」として、すべての財産を公正価値で評価する?を選択したとの由。市の担当者は「1市2町の合併で重複状態にある財産もあり、スリム化に向け精査が不可欠と判断した」と選択理由を説明しており、今後は財産の売却も積極的に行う方針とか。
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公営企業会計基準について政令を閣議決定

 時事ドットコムが1月24日に掲出した「公営企業会計で新基準=財務実態、民間並みに明確化−政府」によると、政府は24日の閣議で、地方自治体が運営する病院や地下鉄など公営企業について、26年度決算から民間企業並みの新たな会計基準を導入するための政令を決定したという。公営企業の財務実態を明確にし、経営健全化につなげるのが狙いで、自治体は2月から、会計システム改修など新基準移行に向けた作業に着手すると記事は伝えている。公営企業の会計基準を抜本的に見直すのは、昭和41年以来だという。新基準では、これまで貸借対照表の「資本」として扱ってきた自治体の一般会計からの借入金を「負債」に計上するなど、財務内容をより実態に即して表示すると記事は伝えるが、あたかも、これまで実態に即していないかのようだ。単に、民間基準とずれていただけと言うことなのに。

公表資料:「地方公営企業会計制度の見直しについて(案)」(平成23年10月 総務省自治財政局公営企業課)
     地方公営企業会計制度の見直しに関する説明会
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東京都が4自治体と協議機関

 東京新聞が23年12月8日に掲出した「都議会代表質問 「新公会計制度」普及へ連携 石原知事 4自治体と協議機関」によると、7日に開催された都議会第4回定例会で、石原慎太郎知事が、都が全国の自治体に先駆け複式簿記や発生主義会計を採用した新公会計制度を普及させるため、年内に大阪府など4自治体と協議機関を設置する考えを示したという。都は行政のコスト意識を高めるため、18年度から民間企業と同じ会計制度を採用しており、都が無償でノウハウを提供し、大阪府や町田市も追随したほか、愛知、新潟両県も本格導入を表明しているという。都はこれら4自治体の財政、会計担当トップをメンバーにした協議機関を年内に設置するというもので、石原知事は「志を同じくする自治体と緊密に連携し、日本の公会計制度改革を全力で牽引(けんいん)する」と意気込みを述べたと記事は伝えている。
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減価償却の考え方の導入で物品記帳を厳格に行う

 苫小牧民報社サイトに10月7日に掲出されていた「苫小牧市が重要物品所在不明問題で事務処理規程整備へ」によると、苫小牧市は、今年3月に明らかになった市の重要物品(50万円以上)の所在不明問題を受け、年度内に事務処理規程を整備するが、その背景として、市が22年度決算から、財産に減価償却の考え方を取り入れていくため、物品の徹底した管理がこれまで以上に必要ということがあるという。問題の発端は、監査委員の指摘を受けて市が調査し、129点が不明になっていることが分かったことで、市は、台帳が未整備な部署があるなど、物品の購入、廃棄時のチェックがずさんだったことが原因と分析しているとのこと。
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東京都が22年度財務報告書を発表

 東京都サイトは報道発表資料として9月16日に「平成22年度「東京都年次財務報告書」の作成について」を掲出している。
 発表文は次のように述べている。
 複式簿記・発生主義会計による平成22年度普通会計決算がまとまりました。この新たな公会計制度により作成された財務諸表を用いて、都全体の財務の実態をマクロ的な視点から分析した「東京都年次財務報告書」を作成したのでお知らせいたします。
 なお、本報告書は、民間企業でいえば、会社の経営状況を株主や投資家に報告する「アニュアル・レポート」に相当するものであり、これまでの官庁会計と合わせて、より多面的に都の財政状況を示すものとなります。
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新潟県が20年度決算財務諸表を公表

 毎日jp新潟ページは8月20日地方版として「県:08年度、純資産は1兆4434億円−−新会計制度 /新潟」〔小林多美子〕という記事を掲出している。記事は、泉田裕彦知事が19日、県の負債総額や資産価値などを明示した貸借対照表などで財政状況を透明化させる「新地方公会計制度」による20年度決算の財務諸表を発表し、それによると、県の資産は約4兆4692億円、負債は約3兆257億円。資産から負債をひいた純資産は約1兆4434億円となると報じている。そして解説として、地方自治体の公会計制度改革は全国的に行われており、県は23年度決算からの本格導入を予定しており、今後21、22の両年度決算も順次公表していくとしている。以下、記事で掲載されているのは次のとおり。

  • 貸借対照表によると、県の資産のうち、最も多いのが道路や橋などのインフラ資産で3兆4023億円。行政庁舎や学校など公有財産が3426億円、投資や基金・積立金などが6337億円

  • 負債は、1年以内に償還を予定している短期公債が2301億円、長期公債が2兆4802億円など



公式発表:新潟県の新地方公会計制度による財務諸表について(平成20年度決算ベース)
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経済財政白書には地方も含んだ国民経済計算ベースのバランスシートがあるようだ

 ZAKZAK「連載:2011「日本」の解き方」に7月28日に掲出されている「財務省したたか工作!国のバランスシート作りのウラ」〔元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一〕は、22日の閣議に提出された経済財政白書で、国と地方を合わせた政府全体のバランスシートが10年ぶりに作成されており、11年度末で資産887兆円、負債1062兆円、資産負債差額175兆円だったのが、21年度末で資産986兆円、負債1505兆円、差額519兆円となっていて、財政状況を表す資産負債差額は悪化しており、その原因は年金の状況であるとしているとした上でコメントを加えている。それによると、15年ほど前に国のバランスシートを公会計に基づき初めて作ったのは筆者自身であること、当時、GDPの計算で使う「国民経済計算」はあったが、推計データなので様々な政策分析には使えず、会計帳簿から個別の資産・負債を悉皆的に調べて公会計の手順でのバランスシートを作ったということが明かされている。会計帳簿から作成したという文脈上、これはいわゆる中央政府に限定した「国の財務書類」のことかと思われる。筆者は、「今回のバランスシートが、公会計ベースのものかと思ったら、国民経済計算ベースなのでがっかりした」というが、地方込みのものは公会計ベースでは未だ無理なのではないだろうか。
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21年度の国の財務書類は23年6月28日に発表

 財務省サイトは6月28日の新着情報(報道発表資料)として「財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会(6月28日開催)配付資料」を掲出している。その日の会議は「独立行政法人会計基準の改訂等について」と「平成21年度 国の財務書類について」が議題となっており、その議事録によると、前者は審議事項だが、後者は報告事項で会議後に公表するとされている。
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財務大臣が費用対効果に言及

 2月14日の参議院決算委員会で国の会計の企業会計的表示化について問われた財務大臣が費用対効果を考慮しつつ進める必要性を述べている。財務省内部での議論を様々に想像することができる答弁になっている。
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産経が東京都方式を推奨する記事

 MSN産経ニュースサイトが12月9日に掲出している「財政健全どっちが分かる? 自治体会計の規格めぐり綱引き」という記事は、自治体の財政健全化に向け、企業会計に近い財務諸表を作成する「新公会計制度」に、規格争いが持ち上がっていると報じている。まず、「自治体の財政健全化に向け」という表現に違和感を覚えるが、記事は、続けて「多くの自治体が採用する総務省モデルと、東京都が独自に開発した方式が併存。大阪府はこのうち都方式の導入に踏み切る。ルールの統一が急がれているが、優れているとされる都方式の方が少数派。「VHS対ベータ」のようなかつてのビデオデッキの規格争いをほうふつさせる“泥仕合”になる恐れもある。」としている。
 記事は、「改革は東京都庁から」との小見出しを付けて「これまでの自治体会計は、1年間で現金の出入りを記す単式簿記。借金も自治体に現金が入ってくる形のため「収入」として扱われるなど「財政の実態が見えにくい」との批判もあり、経営の観点で財政を考える上ではこの仕組みは不十分という指摘があった。」とし、「この解決にいち早く乗り出したのが東京都庁。新会計に関する検討委員会を平成14年に立ち上げ、17年には複式簿記を用いた独自の仕組みを開発した。」とするが、これは、ちょっと事実誤認と言うべきだろう。たしかに、東京都は第三セクターの問題を民間有識者に相談してバランスシートがないことに呆れられて取り組み始めたわけだが、例えば、自治省(現総務省)がバランスシートの作成手法について取りまとめた「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」(概要)は平成12年のものだ。いわば、この改訂前モデルがあるからこそ、現行の総務省の二つのモデルの内の一つは改定モデルと称されているわけだが、記事は、「東京都の動きに対し、総務省も18年5月、2種類の新しい会計モデルを公表。リアルタイムで財政状況を把握しにくいといったデメリットもあったが、「この方式を導入すれば、全国の自治体同士の比較をしやすい」という意見も根強く、大半の自治体はこちらを採用することになった。」と、あたかも総務省モデルが後発であるかのように伝える。そして、「少数派となった東京都と大阪府は多額の資金を投じてシステム開発をしている上、自陣営が優れているとの自負もあり、ほかの自治体を引き込もうと、11月上旬に都庁に全国の自治体の会計担当者らを集めたシンポジウムを開催。東京都方式のメリットを訴えている。」と説いている。このシンポジウムとは、これのことと思われる。
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