公会計制度見直しの動向

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財務省の方針は財務状態の表示における発生主義の採用

 4月27日の参議院決算委員会で興味深いやり取りがあった。
 国の会計を変えていくことについて、複式簿記化、発生主義化、連結化が必要とする委員の質問に対する財務大臣の答弁は、まず、「確かに明治二十二年までは複式簿記を日本も採用していたと。その後、現金主義単式簿記に改めたというにはそれなりの理由もあったんだろうと思います」とした上で、発生主義は期間損益の把握のために必要とされるものであって、公活動のために必要な租税の徴収額とその配分のための国の予算は性格が異なること、しかし、事業コストの把握や資産・負債の把握のためには有用なので、その限りでは発生主義の考え方を活用すること、そのような考え方から国の財務書類を検討・作成していることを述べている。
 具体的には次のとおり。
 発生主義の場合は、期間に対応する損益を合理的に計算しようということで、経済的価値が動いたその時点をとらえて収益や費用を認識しようと、そういうことで事業の損益や財務の状況を事後に正確に把握していこうということだったと思うんですね。それに対して国の予算というのは、まず国が税金などによってその活動に必要な財貨を取得して、これを適正に配分していくために事前につくるものであるというようなことで、性格の違いはあったというふうに思います。
 ですから、今まで、確かに委員のおっしゃっていた方角とは違う方角で歩んできたわけでありますが、公的部門においても、事後的に民間企業における貸借対照表であるとか損益計算書に相当する財務書類を作っていくということは、これは事業コストの把握であるとか、あるいはその資産、負債の実態把握のためには大変有効ではないかと思います。その際には発生主義を活用していくということも考えなきゃならないんじゃないかと。
 こういう考え方から、これまで諸外国でもいろいろありました事例も参考にしながら、国の貸借対照表試案というのを作りましたが、これは発生主義といった企業会計的な考え方及び手法を入れていこうということでございます。それから、一般会計、特別会計のほか、さらに所管の特殊法人等を連結した省庁別財務書類の作成に向けて今取り組んでおりまして、今日、実は平成十五年度決算分の省庁別財務書類が各省庁から公表されることになっております。今までやっておらなかったものを取り入れて、いろいろまだ改良しなければならないところもあるのかもしれませんが、一つの試みとして幅広くこれを利用していただいて、また御批判もいただきたいと思っているところでございます。
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