公会計制度見直しの動向

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長野県のバランスシートが報じられている

 地方自治体がバランスシートを作ることが求められているが、それが注目されることはあまりなさそうだ。そのなかで、信濃毎日新聞社は11月13日に「県の資産は275億円増 09年度バランスシート」を掲出している。記事は、長野県は12日、21年度の普通会計(一般会計と10特別会計)のバランスシート(貸借対照表)を公表したと伝えるもので、総務省の新たな公会計基準での算出に切り替えて2年目という。公共施設などの資産は前年度比275億円(0・7%)増の4兆1705億円だった一方、県債などの負債も同359億円(1・9%)増の1兆9267億円で、県民1人当たりの負債額は89万1千円と前年度より1万9千円増えたと伝えている。資産は、減価償却により道路や橋、公園などの有形固定資産が前年度比407億円減少し、一方、国の追加経済対策予算に伴う交付金を積み立てた基金が同493億円増加し、現金預金も同196億円増えているとか。県民1人当たりの資産は同1万9千円増の192万9千円という。負債の増加は、県債のうち地方交付税の不足分を補う臨時財政対策債が増えたことが主な要因で、県債は翌年度償還予定分を含め1兆6191億円に上るが、このうち8808億円(54・4%)は、地方交付税の計算に算入され、不足分は後年度に補てんされる、としているという。公共資産のうち、これまでの世代が負担した割合(現世代負担比率)は、前年度比0・4ポイント増の57・8%で、一方、将来世代が負担する割合(将来世代負担比率)は同1・6ポイント増の41・7%だったとか。一方、資産形成につながらない行政サービスにかかった経費を示す「行政コスト計算書」も作成されており、経常行政コストは、組織見直しや職員給与の削減による人件費の減少などで、同126億円減の6526億円となっており、県民1人当たりの経常行政コストは同5千円減の30万2千円という。県はほかに、公営企業、第三セクターなど外郭団体分を連結したバランスシートなども公表したとも伝えている。

公表資料:[訂正版]新地方公会計に基づく財務諸表(平成21年度決算)の公表について(PDF形式:79KB/1ページ)
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東京都と大阪府が公会計改革白書を作成した

 東京都サイトは11月11日に「「公会計改革白書」について」を掲出して次のように説明している。
 東京都は大阪府と共同で、これから会計制度の改革に取り組んでいく自治体の参考となるように「公会計改革白書」を作成しました。
 会計制度の改革を進めていくには、複式簿記・発生主義会計の利点や必要性を正確に認識することが前提となることから、本書では、日本の公会計の現状や課題の分析、近時の海外事例の調査などを行っています。また、今後の公会計制度改革の検討の方向性についても提言しています。
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東京都と大阪府が公会計制度改革のシンポジウムを開く

 東京都公式サイトに掲出された案内によると、11月11日に東京都と大阪府の共催で公会計制度改革のシンポジウムを開くようだ。

 東京都方式のアピールの場というわけでもなさそうだ。
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3方式統一へ

 現在、自治体財務の複式簿記的表示には、森田方式及び桜内方式の総務省2モデル東京都方式の三つがあるが、日経電子版サイトに9月17日に掲出されている「総務省、自治体会計の基準統一へ研究会 国際基準に対応」という記事によると、この3方式が統一の方向で研究会が開催されるという。
 記事の書き出しは「地方自治体に民間企業並みの財務諸表作成を求める公会計改革で、総務省は会計基準の統一に向け新たな研究会を発足させる」というもの。すでに9割を超える自治体が貸借対照表などを作成済みか作成中だが、自治体によって基準が異なるため、比較できないなどの問題が生じており、国際公会計基準に対応した統一基準作りを目指して、住民が理解しやすくすると記事は伝えるが、複式簿記が分かる人が分かるだけの話だし、複式簿記が分かる人でも分かるかどうかは疑問。記事によると、今月30日に1回目の研究会を開催し、総務省が提示している2つの公会計モデルと独自方式で作成している東京都を主に比較し、使い勝手や活用状況を検証するという。現在は資産を取得原価で評価するか時価評価するか、税収を企業の売り上げと同じようにみなすか資本金のように扱うか、といった点で対応が分かれており、総務省のモデルのひとつは現金ベースの歳入・歳出決算を組み替えることで貸借対照表などが作成でき、自治体の事務負担を軽減できるというメリットがある半面、企業会計のような「発生主義・複式簿記」にはなっていないとし、国際公会計基準とかい離し、わかりにくいとの批判も出ていたと記事は伝える。研究会の座長には青山学院大学の鈴木豊教授が就任する予定であり、メンバーには国際公会計基準審議会の関川正委員(日本公認会計士協会常務理事)も入り、国際公会計基準との整合性を図るという。東京都や大阪府、財務省の担当者にもオブザーバーで参加してもらうとのこと。現金ベースの予算・決算には減価償却や退職金の引き当てがなく、インフラ施設の更新に必要な額や団塊世代の退職で生じる退職手当が外部からはわからないなど、多くの問題を抱えているというが、将来給付債務を計算すればいいだけの話であり、その計算を必要とするのが複式簿記というだけのことで、本質的には別次元の話なんだが。

 森田方式はもともと過渡的な方式として位置付けられていたわけだし、桜内さんは「みんなの党」の議員になってしまったので研究会には参加しにくいだろうし、大阪府も参考にするという東京都方式に統一化されるのかな。
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大阪府は基準モデルではなく東京都の方式を参考にする

 MSN産経ニュースサイトに8月17日に掲出されている「大阪府が平成24年度から新公会計制度導入へ」によると、大阪府は16日、平成24年度から、民間企業の会計方式を導入した新公会計制度を導入すると発表したという。新制度では府の事業を251に分類し、事業ごとの人件費も含めた収支を計上する方針であり、府によると、民間方式を取り入れることで、行政の専門知識がなくても理解しやすい会計制度となると記事は伝える。記事は、発表を受ける形で、これまでは現金主義の会計制度で、例えば、借金も府の収入に組み込まれる制度になっていたほか、資産の計上などにも支障があるなど、財務マネジメントの側面からはわかりにくい部分もあり、新制度では、固定資産もサービス能力の低下に応じて帳簿価格を減額する減損会計も導入し、府債の残高や利払いの状況も実態に即してわかりやすく表記するように改めると伝えている。ただ、それが何の役に立つかは明らかにしていない。記事によると、大阪府は当初、総務省の基準モデルを採用する方針だったが、「財務マネジメントにいかせる会計制度にすべきだ」という橋下徹知事の意向を受けて、東京都の手法を参考に新システムを構築することにしたという。新制度は、23年度から試験運用を始め、問題点の修正などを行ったうえで24年度から本格導入する見通しとか。

公表資料:「大阪府の新公会計制度(案)」の公表及び府民意見等の募集について
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市町村の6割が20年度財務諸表を作成済み

 総務省は18年に指針を策定して財務諸表を21年度中に作るよう自治体に求めていたが、日経電子版の7月26日の記事「財務諸表作成、市町村6割どまり 08年度決算」によると、総務省がまとめた地方自治体の財務諸表の作成状況調査で、同省の求めた貸借対照表などを「作成済み」と回答した市区町村が全体の64%にとどまっているという。都道府県の89%と比べると遅れが目立つと記事は評している。税収減で自治体の財政運営は厳しさを増しており、財政状況を各自治体がきちんと把握し、住民に情報開示するうえでも、取り組みの徹底が求められそうと記事は伝えているが、ちょっと勉強不足。自治体にとっては、財務諸表作成費用は冗費。総務省は貸借対照表のほか、資金収支計算書、行政コスト計算書、純資産変動計算書の合わせて4つの財務諸表の作成を求めており、20年度決算について、3月末時点の作成状況を調べたところ、1750団体の市区町村のうち、4つの財務諸表の少なくとも1つでも作成済みだった市区町村は1119団体で、作成中が474団体、未作成が157団体あったとか。財務4表をそろって作成している市区町村はさらに少なく、686団体で全体の39%にとどまっているとのこと。
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地方公共団体の20年度財務書類の作成状況

 総務省サイトに6月25日に「地方公共団体の平成20年度版財務書類の作成状況等」が掲出されている。内容は、地方公共団体の平成20年度版財務書類の作成状況を22年3月31日現在で調査した結果を公表するもの。
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総務省改定モデルの解説記事

 トーマツのパブリックセクターページは3月16日に「総務省から公表された2つの成果物と今後の取り組み」〔著者: 公認会計士 小室 将雄〕を掲出している。
 内容は、地方公会計に関して平成22年3月に総務省から公表された2つの成果物「地方公共団体における財務書類の活用及び公表について」(PDFファイル)と「総務省方式改訂モデル向け作業用ワークシート記載要領改訂版」(PDFファイル)について、内容を簡単に紹介するとともに、これらを活用した各自治体における今後の取組について考えようとするもの。
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企業会計方式財務諸表の活用

 ITProサイトに6月29日に掲出されている「地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革 第4回 財務諸表を活用した会計改革の達成状況」〔鵜川 正樹=監査法人ナカチ 公認会計士〕は、「財務諸表は、作成するのが目的ではなく、どのように活用するのかが課題となる」として、東京都の平成20年度決算の財務諸表を基に、財務諸表の活用の視点から、会計改革の達成状況を見ていこうとするもの。その結論は、「マネジメントの強化に財務諸表を活用する視点としては、(1)財務マネジメントの強化と、(2)予算編成への活用という2つがある」として、(1)については、具体的に、次のようなものが上げられているが、どれも発生主義だから可能になった、というものではない。
施設の価値の減少である減価償却累計額(1兆3000億円)から、今後の膨大な更新需要への対応が必要と判断して、「大規模施設等の改築・改修に関する実施方針」を策定した。今後の約10年間に発生する更新需要にかかる経費を8000億円程度と見積もって、社会資本等整備基金への積み立てを開始した。

↑社会資本について今後、大きな更新需要があることは周知の事実。


債権のうち未収金が多額(1300億円)にあることから、債権管理の強化が必要と判断して、「東京都債権管理条例」を制定(平成20年7月施行)。各局に債権管理者を設置し、全庁的な債権管理体制の強化を進めている。また、条例に基づく債権放棄の手続きを定めて、適切な欠損処理を行い、議会へ報告している。

↑前年度未収金については、毎年度、調定を行って当年度の徴収実績を把握しているはず。


財産管理の強化として、未利用地・遊休施設の有効活用(売却・貸付など)に取り組んでいる。

↑現金主義会計の場合においても把握しているはず。


固定資産管理の内部統制の強化として、財産台帳と現物資産の照合、事業目的と利用状況の把握、貸借対照表の残高と財産台帳との適時の照合などに取り組んでいる。

↑現金主義会計の場合も財産台帳の突合は行う。


 また、(2)については、次のようにまとめている。
 発生主義会計の財務情報を活用して、予算編成に活用できる事例は、現状ではまだ数少ない。しかし、事業の廃止・見直しという目的だけでなく、投資を伴う新規事業の選択やより効率的なサービス供給方法への変更など、前向きな活用方法が示されたことには大きな意義がある。

 現段階では、そんなところだろう。
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東京都方式の解説記事

 日経ITproに6月22日に掲出された「−地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革− 第3回 公会計改革への東京都の取り組み」は、東京都の公会計システムを解説している。同システムは、元々は三セクなど企業会計の問題点を浮かび上がられるために導入した企業会計システムを電子情報処理組織を使うことを前提にトップダウン的に公共財会計にも広げたもの。電子情報処理組織を使うことによって、議会対応としての准現金主義的処理と疑似企業会計的処理を同時的に行うことを可能とし、それにより、手間暇を最小限にしていることが最大の特徴だが、それによりどのような効果が上がっているかは未知数。

公式サイト:東京都の新たな公会計制度
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