公会計制度見直しの動向

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繰越承認の簡素化

 時事ドットコムに1月15日に掲載されていた記事「予算繰越制度の運用改善=使い切り慣行を排除−財務省」によると、財務省が、執行しなかった予算の一部を翌年度以降に使用することを認める「予算繰越制度」の承認手続きを簡素化する運用改善策を決めたようだ。同制度の十分な活用により、「年度末になると道路が掘り起こされ、ドタバタと工事が行われる」(菅直人副総理兼財務相)と批判される役所の予算使い切り慣行をなくしていくのが狙いで、21年度予算から適用するという。具体的には、財務省による繰越承認の基準を明確化するほか、提出すべき申請書類の数を縮減し、また、財務省によるヒアリングも原則廃止して、審査期間を10日以内に短縮すると記事は伝えている。
 記事は、政府は23年度から複数年度予算の導入を目指しており、まずは繰越制度の改善に着手することにした、と解説しているが、繰越承認の簡素化の方が「使い切り」改善のためには本質的であり、複数年度予算は、予算期間に終期を設ける以上は、使い切りを先送りするだけで、何の改善策にもなり得ない。本来的には、繰越承認制度は予算策定の改善のためのものであるのに、それが機能していない以上、必要なことは簡素化というよりは届け出制度への変更であり、打ち出されている改善策は、ヒアリングの廃止など実質的に届け出制度への変更と思われる。これは財務省の賢明さを讃えるべきだろう。

公表資料:繰越制度の一層の活用に向けた取組[161kb,PDF]
     予算編成等の在り方の改革について(21年10月23日閣議決定)
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