公会計制度見直しの動向

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総務省方式と東京都方式の相違は資産評価と税収の取扱い

 26日の日経は26面と27面の見開きで公会計を取り上げている。その26面には「自治体、会計改革急ピッチ―国と東京都、基準作り競う、「比較できず」統一望む声」という記事がある。この記事は、東京都と岐阜県が昨年、庁内のコンピューターシステムを大幅刷新して、仕訳処理を自動化し、従来とほとんど変わらない入力操作で、バランスシートなど民間流の決算書が作成できるようにしたこと、山形県や静岡県浜松市、大分県臼杵市も同様のシステムを構築する計画であることを紹介している。そして、東京都千代田区が行政の効率化を目的として事業別のコスト計算を導入していて、愛知県豊橋市が人件費を、また兵庫県尼崎市が人件費と減価償却費を各事業の決算額に加えるという手法を採用して、市場化テストの体制を整備しているとした上で、「千葉県市川市は活動基準原価計算という企業経営手法を活用している。各事業の人件費を窓口や記録といった活動別に計算、人員配置や作業内容の改善につなげている」としているが、では、千代田区がやったことはABC分析ではないのだろうか?。
 記事は、自治体独自の取り組みが進むなか、総務省もバランスシートなどの統一基準作りを急いでいるとして、研究会の話を紹介し、報告書の中で都道府県と人口3万人以上の市に対し、20年度決算からバランスシート、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書を、新たな基準で作成するよう求めていると報じている。記事は、新基準による決算書を検証するため、浜松市と岡山県倉敷市をモデルとして試作作業を進め、現在はその作業も終了しており、問題点を洗い出したうえで、各自治体に配布する作成マニュアルを3月末までにまとめるつもりとした上で、東京都の動きも紹介する。東京都は独自の基準をまとめ他の自治体への普及を狙っており、希望する自治体には会計処理のソフトウエアを無償提供するとしており、公会計改革検討のため全国知事会が3月に設置するワーキンググループでも、リーダー役になっていると紹介している。総務省の新基準と東京都の基準の違いは資産評価と税収の扱いで、総務省は資産を原則時価で評価、税収は資本(出資)とみて純資産変動計算書に計上するのに対し、都は資産を取得原価で計上、税収は収入として行政コスト計算書に計上しているという。記事によると、このように総務省と都が別々の動きをしていることについては、専門家からも「基準がまちまちだと自治体間の比較分析が難しい」(日本格付研究所)、「基準の統一化が難しいなら読み替えできる仕組みが欲しい」(格付投資情報センター)との声が聞かれるという。
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