公会計制度見直しの動向

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投資家は自治体に公開企業並みの開示を求める

 9月28日付けの日本経済新聞朝刊7面の「開示されない地方債リスク」(金融取材メモ)〔N〕は、財政破綻状態に陥った北海道夕張市など、地方自治体の深刻な財政悪化が進んでおり、自治体の破綻法制づくりに向けた議論が始まったものの、地方債の債務不履行(デフォルト)に備えて情報を開示する法律はなく、法改正も含めた対応策が新たな金融行政の課題として浮上してきたと伝えている。金融庁の関係者は、8月末に総務省が立ち上げた自治体の破綻法制を検討する研究会について、結論次第では「地方債も紙くずになる」との事態になりかねないため、その議論の行方を注視しており、その背景として、今の投資家保護制度は「地方債にデフォルトは起きない」ことを前提としていて、証券取引法にも開示ルールの規定はなく、債券の発行企業には財務内容を定期的に投資家に示す義務があるが、自治体は例外となっており、これは、自治体には課税権限があるうえ、財政破綻をしても国が支援する仕組みがあることが根拠となっていると教示している。地方債市場は変わり、自治体が公募債の発行条件を金融機関と個別に交渉し始めて以来、財政実態に応じた金利格差が発生し始めていて、リスクの引き受け手として投資家の存在感が高まることをにらみ、公開企業並みの開示制度の導入を求める投資家も増えているとか。ただ、開示の義務付けは、開示内容が適切か否かについて、金融庁が自治体を監督する構図が生じ、虚偽記載があった場合は証券取引等監視委員会が自治体を調査することにもなることから、自治体への金融庁の影響力を高めるため、総務省は「干渉は受けない」という立場で、投資家保護という金融庁の論理を、今の霞が関は必ずしも歓迎しないと記事は説明している。
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