地方公営企業会計の基準が厳しくなる
東京新聞は5月30日に「地方公営企業、民間並み負債計上 会計見直し、赤字体質改善へ」〔共同〕を掲出している。
記事は、総務省が30日、自治体が特別会計を設けて運営する病院や鉄道事業などの地方公営企業について、会計基準を大幅に見直し、民間企業並みに負債を厳しく計上する方針を固めたと報じている。設備投資に充てた自治体の一般会計からの長期借入金や地方債は現在、「借入資本金」として資本に算入しているが、負債に含めるよう改めるとのこと。赤字体質の公営企業の経営改善を促す目的と記事は伝えている。地方公営企業法が適用されている全国約2900の公営企業の事業全体で、19年度決算の借入資本金は33兆円と、資本総額79兆円の4割を占めているとか。総務省は6月8日に有識者研究会を発足させ、実施時期を含めた具体策について年内にも結論を得たい考えで、これを受け、同省が同法施行令の改正作業に入るとか。大幅改正は、自治体の一般会計から公営企業への補助などについて定めた昭和41年以来とのこと。現行では、借入資本金は民間企業の株式発行による資本金に相当するとして、資本に計上しており、これが負債に算入されると、財務内容を示す貸借対照表の資本が減り、負債が増えて内容が悪化することになり、一部では、民間なら経営破綻しかねない、資産を売却しても負債を返済しきれなくなる債務超過に陥るケースも想定されるとか。ただ、自治体が運営しているため、金融機関からの借金が難しくなる民間企業とは異なり「日常の資金繰りに影響はない」と総務省はみているとのこと。同省の有識者研究会ではこのほか、公営企業の経営改善に向け、職員の退職金の積み立てや、設備の減価償却制度の見直しなども検討するとのこと。
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