単式簿記・現金主義をなめた議論
3月15日付け日本経済新聞朝刊33面の「特集――自治体経営シンポジウム、シンポ第1部を聞いて、外部の目でメス入れよ」〔産業地域研究所研究員 前島雅彦〕は、シンポジウムにおける宮脇教授の言葉として「行政の認識しない非効率」という表現を引用し、それをあぶり出すには住民など外部からの指摘が必要だが、現在の公会計制度では難しいだろうと説く。記事によると、「単式簿記・現金主義の考えに基づく公会計制度は、現金収支の記録が基本だ。自治体は台帳で資産、負債の管理をしているが予算、決算書との結び付きは弱い。しかも台帳の記載内容は自治体によってまちまちで資産価格の記録がないところが大半だ。これでは資産の効率運用は難しく、減価償却費を含めた事業コストも計算できない。」という。まず、「決算書」として収入支出決算書しかイメージせずに資産・負債との関連が薄いと説くのはおかしな話だし、さらに、台帳の記載内容がまちまちなことは資産の効率運用とは関係のない話だし、資産価格の記録がない、というのは会計制度以前の話だろう。また、「減価償却費を含めた事業コスト」の算出は現行制度下でも十分に可能であり、現に行っている自治体もある。
「負債の膨張や財源の先細りに直面している自治体にとって、経営効率化は喫緊の課題だ。費用対効果を計って事業を選別したり、遊休資産の売却で負債を圧縮するなど「認識しない非効率」にメスを入れる必要がある。しかし、現金収支の帳尻合わせに終始する現制度では対応できない。」と記事は説くが、「現金収支の帳尻合わせに終始」している訳ではないことは、各自治体が曲がりなりにも貸借対照表もどきを作成していることからも明らかだ。
「民間企業は資本市場と向き合い、その声に耳を傾けながら経営改革を進めてきた。自治体も同じはず。経営実態を分かりやすく公開し外部の目にさらせば気付かなかった改善点が浮かび上がる。自治体経営を変えるには会計制度の抜本改革が不可欠だ。」と記事は締め括っているが、別に、会計制度を変えずとも改善点は浮かび上がる。
公会計における費用回収型事業と準公共財(直接受益者特定可能)提供事業と純粋公共財提供事業とは整理して議論する必要があるのだが……
「負債の膨張や財源の先細りに直面している自治体にとって、経営効率化は喫緊の課題だ。費用対効果を計って事業を選別したり、遊休資産の売却で負債を圧縮するなど「認識しない非効率」にメスを入れる必要がある。しかし、現金収支の帳尻合わせに終始する現制度では対応できない。」と記事は説くが、「現金収支の帳尻合わせに終始」している訳ではないことは、各自治体が曲がりなりにも貸借対照表もどきを作成していることからも明らかだ。
「民間企業は資本市場と向き合い、その声に耳を傾けながら経営改革を進めてきた。自治体も同じはず。経営実態を分かりやすく公開し外部の目にさらせば気付かなかった改善点が浮かび上がる。自治体経営を変えるには会計制度の抜本改革が不可欠だ。」と記事は締め括っているが、別に、会計制度を変えずとも改善点は浮かび上がる。
公会計における費用回収型事業と準公共財(直接受益者特定可能)提供事業と純粋公共財提供事業とは整理して議論する必要があるのだが……
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