独立行政法人の本旨

 独立行政法人の本旨について、一部で「明瞭な業績表示によって効率性を向上させるために企業会計原則が導入された」という理解があるようだが、根拠があるとは思えない。もともと、少なくとも先行独立行政法人は業績表示が極めて難しい分野が多く、独立行政性法人評価ですら、その客観性確保に苦労しているところである。まして、貨幣額でしか測定できない会計に業績表示を求めるのはあり得ない議論である。

 では、なぜ、独立行政法人に企業会計原則が必要とされたのか。それは、国庫制度から外れるからに他ならない。国庫制度から外れ、資金運用について裁量を発揮することが求められ、特に支出の時期をにらんだ財務運営が求められているが故に複式簿記が導入されたと見るべきだろう。

 逆に言うと、制度設計において業績表示が念頭になかったからこそ、こういう比較可能性を欠いている事態が生じたのだろう。

(2003/11/8記)
© 2003 massim


企業会計 HOME