公会計の特色の一つは、互酬的資金収支が限定されていて、税金のような片務的資金収受、補助金のような一方的資金贈与が重要な役割を果たしていることである。この性格は、日本の財政においては、近年の独立行政法人の分離により、ますます明確になってきている。
この片務的資金収受、一方的資金贈与を公正勝つかつ確実に行うために、国の会計は現金主義で統制されている。
例えば、補助金の分野では、補助事業期間中の現金支払に限って補助対象としているものが多い。これは、強制的に徴収した国民の血税を所定の使途で使用させることを確実ならしめるためである。
この現金主義の確実性とは、発生主義においては、事情変更により既往に認識した費用が変更されるリスクが常に存在していることの裏返しである。
もとより、互酬的均衡に中に生きる企業会計では、上記のような配慮は一切必要とされにない。むしろ、現在の企業価値の測定のためには発生主義が必要とされる。もちろん、国家は買収の対象にはならず、その価値を測定する必要はない。