アカウンタビリティ

アカウンタビリティ


 アカウンタビリティという言葉は、10年以上前までは「会計責任」として訳されていました。この訳語の「会計」が狭く解される嫌いがあるということで、現在、「説明責任」という訳語が一般的になっています。

 もっとも、この訳語には、遂行しなかった場合に追及されペナルティが課されるというニュアンスが表現されていないという理由から、外来語言い換え運動に反して、アカウンタビリティという言葉を使い続けている人もいます。

 この accuntability、公会計の世界では public accountability ということになります。この public accountability の確立を誰よりも期待するのは、各国の会計検査院でしょう。そこで、 public accountability が世界の会計検査院の寄り合いでどう定義されているか、その文書の用語集を見てみましょう。

Public Accountability
The obligations of persons or entities, including public enterprises and corporations, entrusted with public resources to be answerable for the fiscal, managerial and program responsibilities that have been conferred on them, and to report to those that have conferred these responsibilities on them.

 訳すと「公的資源を負託されたことで課せられる財務上、資源運営上["management accounting =管理会計"との整合性からは「管理上」が適訳]及び負託目論見上[実際的には「施策上」が適訳]の責任について弁明できる状態でおり、それらの責任を課した人々に対して報告するという、公的資源を負託された個人又は機関(公共企業体及び公企業を含む。)の義務」となるのでしょうか。確かなことは、ここでは、「責任」ではなく、「義務」であると言っていることです。もっとも、この文書は、事情の異なる各国がわいわいやって作った文書でしょうから、だから、どうという訳ではありません。

 肝心なことは、アカウンタビリティには、資源を負託されたことが前提にあること、資源負託に伴って様々な責任が生じること、その責任について語る義務であることという位相の異なる三つのポイントがあるということです。

(2003/8/6記;12改)
© 2003 massim


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